IP電話を孤立させないNECのセッション・ボーダー・コントローラ

2004/8/25

 NECは事業者が異なるVoIPネットワークを相互接続する新製品「セッション・ボーダー・コントローラ」の出荷を開始した。サービスプロバイダが提供するIP電話サービスは、利用するIPネットワークの違いなどで相互に通話できないケースが多いが、セッション・ボーダー・コントローラを使うことでVoIPトラフィックだけを通過させることができ、相互通話を可能にするという。

 セッション・ボーダー・コントローラはIP電話の呼制御を提供するNECのSIPゲートウェイ「CX3820-SF」と、異なるネットワークで音声データのやりとりを行う米Brooktrout Technology製のVoIPメディアゲートウェイ「SnowShore Media Firewall」で構成する。

 現在の多くのIP電話サービスはNATを使いプライベートIPアドレスをクライアントに配布している。プライベートIPアドレスを使うことでセキュリティが高まっているが、異なるIPネットワーク間で通信ができないなど問題も指摘されている。セッション・ボーダー・コントローラはNATで保護された異なるIPネットワーク間でもVoIPトラフィックだけを通信させることが可能な「VoIP-NAT/ファイアウォール機能」を実装。プライベートIPアドレスを使っていてもNATを超えて、異なるIPネットワークのIP電話機と通話できるようにした。さらにプライベートIPアドレスを持つIP電話機とも通話可能とする「NATトラバーサル機能」があり、サービスプロバイダはセキュリティを維持しながら、異なる事業者間のIP電話サービスを展開できる。

 セッション・ボーダー・コントローラはIPv4とIPv6のネットワーク間でVoIPの相互接続を可能にする変換機能、音声データの圧縮方式が異なるネットワーク間の相互接続を可能とする「メディアコーデック変換」などを用意し、事業者のさまざまな環境に対応できるようにしている。最大5000セッションまで対応。ゲートウェイを冗長化構成にし、可用性を高めることもできる。セッション・ボーダー・コントローラはすでに高松市のSTNet、仙台市の東北インテリジェント通信が導入を決定している。

 価格は1947万円から。NECでは3年間で50セットの販売を見込んでいる。

(編集局 垣内郁栄)

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