お粗末! 日本企業のディザスタ・リカバリ対策

2004/9/1

 ベリタスソフトウェアが実施した日本企業のCEO、CIOを対象にした調査で、ディザスタ・リカバリに関するお粗末な実態が明らかになった。対象者の61%が日本企業のDR対策について「非常に遅れている」「遅れている」と回答。さらに自社のDR対策について37%が「やや信頼できない」「非常に不安」と答えるなど、災害発生時の対応を心配させる結果となった。ベリタスでは「何らかのDR対策はしていても、『事業継続』という視点からのリスクの把握ができていない」と指摘している。

 調査はベリタスが協賛したセミナーの出席者354人に実施。有効回答は250。セミナーの事前登録者305人のうち、CEOが103人、CIOが40人を占めた。

 日本企業のDR対策について「進んでいる」と答えたのはわずか4%、「非常に進んでいる」は0%で、経営層がDR対策について強い危機感を持っていることが明らかになった。大半は「非常に遅れている」「遅れている」で、全体の61%を占めた。

 自社で導入しているDR対策について複数回答で聞いたところ、最も多かったのは回答数116のテープ・バックアップだった。次いで、ディスクへのバックアップが106。遠隔地保管は回答数88で3番目だった。常時複製やのシステム引き継ぎなどは少数回答だった。逆に今後導入したいDR対策では、遠隔地保管や常時複製、システムの引き継ぎなどがあがった。

 一方、自社のシステムが停止した場合、復旧までにどの程度の時間がかかるかを把握しているのは回答者の27%にとどまった。「把握していない」は59%。システム復旧までの損失額を把握しているのはさらに低く10%で、76%の経営層が「把握していない」と回答した。ベリタスでは「自社の抱えるリスクの把握、システムダウンがもたらすビジネスインパクトを実際には把握できていない」と指摘した。

 ベリタスは日本企業のDR対策の現状について、「とりあえずデータのバックアップ作成まではしているが、それをどのように復元し、事業継続につなげていくか、というところまでの対策は十分になされておらず、これからの課題と位置付けられている」と説明し、「事業継続の視点からのリスク分析、目的に応じたシステムの選択、教育・訓練、定期的な検証など、システムを運用する側の“人の手による”対策を組み合わせて実施してくことが重要」としている。

(編集局 垣内郁栄)

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ベリタスソフトウェアの発表資料

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