Webアプリのパフォーマンスを3倍向上、F5が新BIG-IP

2004/9/9

 F5ネットワークスは、レイヤ4-7のアプリケーション層の帯域を管理するBIG-IPシリーズの新製品「BIG-IP v9」を9月8日に発表した。

 BIG-IP v9は、Webアプリケーションをより効率的に配信するための製品で、電子商取引サイト運営者や大企業が主なターゲット。IPネットワークを利用するアプリケーションのフローを管理し、トラフィックの量を軽減して、パフォーマンスを向上させるという。クライアントへの送信時にHTTP、XML、JavaScript、J2EEアプリケーションなどのファイル圧縮を行い、パフォーマンスを最大3倍向上させ、帯域の使用を80%低減させるという。

米F5ネットワークス BIG-IP シニアプロダクトマネージャ ジェーソン・ニードハム氏

 米F5ネットワークス BIG-IP シニアプロダクトマネージャ ジェーソン・ニードハム(Jason Needham)氏は、「企業のネットワーク担当チームとアプリケーション開発チームとの間に大きな乖離(かいり)があり、これまでのネットワークはアプリケーションの配信をサポートするための柔軟性がなかった。BIG-IP v9はその問題を解決し、ユーザーに統合型アプリケーションインフラストラクチャサービスを提供する」とアピールした。

 BIG-IP v9の核となるテクノロジは、トラフィック管理を行う新OSの「TM/OS」である。TM/OSに備える高速アプリケーションプロキシは、クライアントとサーバ間のアプリケーションすべてのフローの管理を可能にする。ニードハム氏は、「TM/OSによって柔軟で的確なアプリケーション配信が可能になる。さらに、これまでクライアントとサーバ間の通信の監視は、1つの通信ごとに1つの方向に対してしか動作できなかったが、TM/OSを用いると、リアルタイムに双方向の通信に対して監視が行える」と説明した。

F5ネットワークスが発表した「BIG-IP v9 6400」

 BIG-IP v9はそのほかに、アプリケーションの優先度を帯域でコントロールする「柔軟なレイヤ7レートシェーピング機能」や、IPv4ネットワークとIPv6ネットワーク間の完全なIP変換と帯域制御を行う「IPv6ゲートウェイモジュール」、2Gbpsのバルクスループットの能力を持つ「超高速SSLアクセラレーション機能」がある。

 ニードハム氏は、「2004年第2四半期、BIG-IPシリーズは、レイヤ4-7固定スイッチの世界市場でシェア1位を獲得した」と話し、同シリーズがトラフィック管理製品として市場の支持を得ていることをアピールした。さらに「われわれはオラクル、IBM、BEAといったソフトウェアベンダと協業して、さまざまなアプリケーションを柔軟にサポートする統合型インフラストラクチャ製品の開発に努めている」と語り、今後、BIG-IPがアプリケーションサービスのサポートをより強くしていく方向性を示した。

 BIP-IP v9はエントリモデルの1500から、3400、6400と3タイプを用意。価格は395万円から。

(編集局 富嶋典子)

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F5ネットワークスの発表資料

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