“オンデマンド”に向かうシトリックスの技術トレンド

2004/10/8}

 米シトリックス・システムズのプロダクト&デマンドマーケティング担当シニア・バイスプレジデントのトニー・マズーリ(Tony Marzulli)氏は10月6日(米国時間)、米国オーランドで開催中のシトリックスのユーザーイベント「iForum2004」で講演し、同社の今後の製品戦略を説明した。マズーリ氏は「一度投資するだけで、その後に技術トレンドの変化に柔軟に対応できるアークテクチャが求められる」と説明。「シトリックスのアークテクチャは新しいテクノロジへの対応を保証する」と聴衆に訴えた。

米シトリックス・システムズのプロダクト&デマンドマーケティング担当シニア・バイスプレジデントのトニー・マズーリ氏(右)と同社アドバンスド プロダクト担当バイスプレジデント マーティン・ダーズマ氏

 マズーリ氏は「MetaFrame Access Suite」に搭載する新技術についてデモを交えながら紹介した。シトリックスのコアテクノロジともいえるさまざまなデバイスからのアクセス機能は、「SmartAccess」としてポリシーベースに進化する。MetaFrame Presentation Serverにログオンする前にエージェントがデバイスのセキュリティ状態や設置場所をチェックし、ユーザーのアクセス範囲を設定する。同じユーザーがログオンしても利用しているデバイスによってはアプリケーションやファイルの利用が制限される。また、ファイルをローカルのデバイスに保存することを禁止するなど知的財産保護の機能も今後追加される見通しだ。

 SmartAccessは、シスコシステムズが展開する「Cisco Network Admission Control」やエクストリームネットワークスの「Trusted Network Connect」などエンドポイントのセキュリティ技術とも連携可能にする。シトリックスのアドバンスド プロダクト担当バイスプレジデント マーティン・ダーズマ(Martin Duursma)氏はSmartAccessについて「アクセスを細かな粒度で管理できるようになる」と説明した。

 すでにMetaFrame Access Suiteに実装されている「SmoothRoaming」の技術は、異なるデバイス間での電子メールの同期機能や、VoIPアプリケーションのサポートが今後追加される。VoIPアプリケーションのサポートでは、MetaFrame Presentation Server上でソフトフォンなどのアプリケーションを起動し、ユーザーはPCやPDAなどデバイスを問わずにIP電話が利用できるようになる。

 運用管理の機能も向上する。今後追加される新機能「Robust&Resilient Foundation」では、他社から新たに取得したプロセッサやメモリの最適化技術を活用し、動的にサーバのリソースをチューニングできるようにする。マイクロソフトが進める64ビット拡張プロセッサ対応のWindows Server 2003の開発にも協力する方針。マズーリ氏は「ロングホーンが登場したときにはシトリックス製品との相互運用性が保証されるだろう」と語り、マイクロソフトとの共同歩調を説明した。

 また、Robust&Resilient Foundationでは1つのサーバ上でバージョンが異なる同じアプリケーションを動作させることを可能にする「Application Isolation」の機能を実装する。これまでは1つのサーバ上でMicrosoft Office 97と、Office 2000などバージョン違いのアプリケーションを動作させることは、お互いのアプリケーションに悪影響を与える危険があるために対応していなかった。しかし、Application Isolationでは1台のサーバ上で各アプリケーションを独立して稼働させることできる。シトリックスでは「アプリケーションごとにサーバを用意する必要がなくなり、サーバ統合が進む」としている。

 ダーズマ氏は「将来、すべての企業や組織はオンデマンド化され、どのデバイス、どの場所からでも簡単に必要な情報に安全にアクセスできるようになるだろう」と述べたうえで、「シトリックスはこのような環境を実現するアクセス インフラストラクチャを実現しようとしている」と語り、同社の技術開発が着実に進んでいることを強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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シトリックス・システムズ・ジャパン

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