ハリケーンに打ち勝った米企業のITシステムを見る

2004/10/9

 「金融サービス企業にとって年々強化される規制に対応できるかが生き残りの鍵となる。そのためわれわれが選んだのがITの活用であり、Citrix MetaFrame Access Suiteだ」。米国フロリダ州に本社がある金融サービス企業、Mutual Service Corporation(ミューチャルサービス)のCIO クリストファー・マクダニエル(Christopher G. McDaniel)氏は、こう述べてCitrix MetaFrame Access Suiteの有効性を強調した。金融業界に対する規制は日本でも強化が進んでいる。規制の変化にいかに迅速、柔軟に対応するか。ミューチャルサービスの事例を紹介する。

米ミューチャルサービスのCIO クリストファー・マクダニエル氏

 ミューチャルサービスは全米に3200の事業所を構えて、主に個人で活動するトレーダーを相手に金融商品を提供している。社員は150人。トレーダーが金融商品を販売することで、その手数料がミューチャルサービスに入るというビジネスだ。

 ミューチャルサービスがCitrix MetaFrame Access Suiteを導入したのは3年前。きっかけはそれまで使っていたクライアント/サーバ型のシステムでは、全米3200に散らばる事業所のシステムを効率的にアップデートできなかったからだ。「アップデートするにはすべての事業所にアプリケーションを収めたCDを配送する必要がある。導入期間を考えると1年に1度しかアップデートできなかった」(マクダニエル氏)。システムをアップデートできなければ、トレーダーが新しい金融商品を扱うことができず、有能なトレーダーや顧客が他社に移ってしまう懸念があった。

 Citrix MetaFrame Access Suiteの導入はマクダニエル氏が中心となって行い、3〜4カ月で導入を完了。トレーニングやシステムの統合を行い1年で稼働にこぎつけることができたという。初期導入コストは200万ドル。14台のサーバで運用する。その後の3年間のメンテナンスに140万ドルかかったが、3200の事業所に展開するシステムということを考えると割り安にも思える。マクダニエル氏によると、シトリックスのコンサルティングチームと協力することで、コストを抑えられたという。

 Citrix MetaFrame Access Suiteの導入の当初の目的は、効率的なシステムのアップデートだったが、実際に稼働した始めた後は、加えて、政府の規制に迅速、柔軟に対応できることが役立っているという。マクダニエル氏によると、ミューチャルサービスの事業が関係する規制はすでに300あり、さらに今後100の規制が追加される見通しだという。ミューチャルサービスのIT部門は、業務時間のうち85%が規制に対応できるようシステムのプログラミングを修正することに費やされている。規制に迅速に対応できることこそが、ITの利用目的となっているのだ。

 ミューチャルサービスではトレーダー向けのシステムだけでなく、社内の業務システムもCitrix MetaFrame Access Suiteを使ってサーバ・ベースド・コンピューティングの環境に移行している。ミューチャルサービスでは約3000のアプリケーションを利用しているが、そのうちの80%がCitrix MetaFrame Access Suiteで統合されているという。もちろんCitrix MetaFrame Access Suiteの導入を決める前には、EIP(エンタープライズ・インフォメーション・ポータル)やWebアプリケーションなどほかのシステムも検討された。しかし、「Citrix以外の製品には“アクセス”の視点が欠けていた」という理由で脱落した。Citrix MetaFrame Access Suiteが持つ、どのデバイス、どの場所からでもというアクセス性の高さを評価したという。

2つのハリケーンで被害を受けたミューチャルサービスの社屋。社内のあちこちを修繕していた

 ミューチャルサービスは2004年9月にフロリダを襲った大型ハリケーン「アイバーン」「ジーン」で大きな被害を受けた。エアコン設備が強風で飛ばされて屋上に穴が開き、窓が割れて豪雨と強風が社内に吹きつけた。ITシステムも大きな影響を受けたが、Citrix MetaFrame Access Suiteのシステムはディザスタ・リカバリ(DR)のミラーサイトをアトランタに用意していたため、すぐに復旧し、業務を再開できたという。日常のデータだけでなく、Citrix MetaFrame Access Suiteの環境全体をミラーリングしていたために、リカバリにも時間を取られることがなかった。

 マクダニエル氏は「ハリケーンでITシステムがストップした場合、1週間に260万ドルの損害が出るところだった。しかし、Citrix MetaFrame Access Suiteの環境をバックアップしておいたことで、その損害を防ぐことができた」と説明した。

 ミューチャルサービスは全社の予算のうち、70%をIT関連に費やすというITをビジネス戦略の中枢に据えている企業だ。IT部門の要因は開発/サポートでわずか36人。社内には週に35時間の勤務を推奨するルールや、午後6時にエレベータを止めて、従業員の帰宅を促す取り組みなどがあり、ビジネスの効率化を常に従業員に求めている。

(編集局 垣内郁栄)

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