Flashがリッチクライアント戦争に打ち勝つ理由

2004/10/23

 マクロメディアはユーザー向けのカンファレンス「Macromedia Flash Conference 2004」を10月22日に開催した。「Breakthrouth〜Flash プラットフォームの全容と次世代Flashのプレビュー〜」と題した基調講演では、米マクロメディア エグゼクティブ バイスプレジデント兼チーフソフトアーキテクトのケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏が、「Macromedia Flash Player(以下、Flash)がインターネット上でリッチなコンテンツを表現する最もユビキタスなソフトウェアである」と強調した。

米マクロメディア エグゼクティブ バイスプレジデント兼チーフソフトアーキテクトのケビン・リンチ氏

 基調講演後に行われたプレス向け会見では、リンチ氏はFlashテクノロジの将来性について、「開発に必要なプログラムコード数がJavaのJSPに比較して、30%も少ないFlashテクノロジは、企業のビジネスプロセスの合理化を進めることができ、ROIを効果的に高める」と述べた。また、ユーザーであるナイキの消費者向けのWebサイトを見せて、市場への浸透度の高さや電子商取引サイトにおける表現力の高さを披露した。

 リンチ氏はマイクロソフトの「PowerPoint」のファイルを自動的にFlashベースのインターフェイスに生成するソフトウェア「Macromedia Breeze」についても「セールスフォースドットコムでは、Breezeの活用が顧客とのインタラクティブコミュニケーションに役立っている」(リンチ氏)と事例を交えて説明し、市場での有用性をアピールした。

 国内で11月に発売する予定の「Macromedia Flex」(以下、Flex)についてリンチ氏は「デスクトップOS並みの使いやすさが特徴のWebアプリケーションの開発フレームワーク」と説明した。リンチ氏は「FlexはWebアプリケーション開発のためのミドルウェア。BEAシステムズやオラクルなどJ2EEベースのアプリケーションサーバだけでなく、将来的には、.NETプラットフォームの上でも走ることになるだろう」(リンチ氏)と述べた。

 Flexは、MXMLと呼ばれる、XMLを拡張したマクロメディア独自のタグ言語を使い画面を定義する。実行環境の「Flex Runtime Services」がMXMLを読み込み、Flashオブジェクトをクライアント端末に送り込むことによって、既存のシステムなどとの連携を可能にするという。

 リンチ氏は、技術者が新しい言語であるMXMLを習得する際の難易度について、「MXMLはとてもシンプルなタグだ。MXMLに必要な“アコーディオンタグ”は宣言が1行で済み、送信先のアドレスなどのエレメントを定義して、Javaに結び返すことができる」と説明した。さらにリンチ氏は、「Flexはもともと、既存のJavaデベロッパがよりよい開発環境を得られるように作られた開発フレームワークだ。XMLはJavaの開発者が覚えなくてはいけない言語であると私は捉えている。Webの世界にあっという間にHTMLが採用されていったように、XMLの採用も急速に進むと思っている」と述べ、MXLMの技術者への浸透は容易に進むと予測した。

 競合するテクノロジに対する優位性についてリンチ氏は以下のように発言した。「Webアプリケーションに利用されているCurlやJavaのSwingなど、リッチクライアントの生成には複数のテクノロジが存在している。Javaは確かにサーバサイドの言語としては成功しているといえるだろう。しかし、クライアントサイドでは、バージョンが多く存在するため、アプリケーション開発者はバージョンごとに、それぞれインプリメンテーションを繰り返す必要がある。Flexでは、クライアント側のFlashのカバレッジの広さを最大限に生かせる。Flash Playerの市場への浸透度の高さは、Flexの優位性につながるだろう」と語り、Flexへの自信を見せた。

(編集局 富嶋典子)

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