NetAppがNYで語った「ストレージ仮想化の究極」

2004/12/3

 米ネットワーク・アプライアンス(NetApp)のCEO ダン・ウォーメンホーヴェン(Dan Warmenhoven)氏はニューヨークで開催したプレス&アナリスト・イベントで12月1日に講演し、グリッド技術によるストレージ統合を強化する方針を示した。ウォーメンホーヴェン氏は「NetAppが伸びている理由は他社に先んじて顧客のニーズを吸い上げているからだ」と述べ、今後の成長に自信を見せた。

米ネットワーク・アプライアンスのCEO ダン・ウォーメンホーヴェン氏

 グリッド技術によるストレージ統合はNetAppが最も注力している分野。NetAppはNASを得意としているが、2年前からファイバチャネルのSANやiSCSI-SANの製品も展開している。ストレージ統合では他社のストレージも合わせて統合し、シングルイメージとしてアプリケーションから透過的にアクセスできることを目指す。

 ストレージ統合のポイントは仮想化技術。NetAppのゲートウェイ製品「NetApp Filer」「NetApp gFiler」を使ってベンダやプロトコルが異なるヘテロジニアス環境のストレージを仮想化する。ストレージリソースを必要としているアプリケーションに柔軟にリソースを割り当てられるだけでなく、頻繁にアクセスするデータを高パフォーマンスのストレージに自動で移すことが可能。システム全体のパフォーマンス向上と、ストレージ利用率のアップが期待できる。仮想化技術を利用し、複数のノード間でハイアベイラビリティ(HA)構成を採ることもでき、可用性が高まる。ウォーメンホーヴェン氏は仮想化について「複数のビジネスアプリケーションをサポートし、統合した構成で管理するのがゴール。仮想化はこれからの戦略の要となる」としている。

 NetAppの仮想化技術は今後、「ストレージ・グリッド」に進化する。ストレージ・グリッドとは仮想化したヘテロジニアス環境のストレージに「グローバル・ネーム・スペース」の名称のメタデータのレイヤを設けて、データの移動や削除、変更を論理的に管理する仕組み。グローバル・ネーム・スペースを設けることで、アプリケーションは実際の保存場所にかかわらず、データにアクセスできるようになる。NASやSANなどプロトコルの違いを意識する必要もなくなり、運用管理性が向上するとしている。

 ストレージ・グリッドはNetAppが2004年2月に買収した米Spinnaker Networksの技術を活用する。Spinnakerの「SpinOS」に、現状のNetAppのストレージOS「Data ONTAP」の機能を移植する。2005年末までにData ONTAPのスナップショット、スナップミラーの機能を移植。さらに2006年末までにファイバチャネル、iSCSIなどのプロトコルを移植して、完成させる。NetAppのシニア・プロダクト・マネージャー ラヴィ・パルササラティ(Ravi Parthasarathy)氏は「すべての情報に関するネーム・スペースを実現する。ネットワークのどこからでもストレージにアクセスできるようになる」と説明した。ウォーメンホーヴェン氏も「グローバル・ネーム・スペースは仮想化の究極の姿だ」と述べ、意欲を見せた。

NetAppの社長 トム・メンドーザ氏

 ウォーメンホーヴェン氏はまた、「今後の成長戦略を担う」として、NetAppの「NearStore」を使ったコンプライアンス対応の強化についても説明した。NearStoreはプライマリディスクのデータをバックアップする用途のストレージ。ATAディスクアレイを採用し、SCSIディスクアレイのプライマリストレージと比較して低価格なのが特徴。一度保存したデータの改ざんを防止するソフトウェア「SnapLock」と組み合わせて、業務ドキュメントや電子メールの長期保存を求める法規制に対応する。また、バックアップ/リカバリのソフトウェア「SnapVault」を使い、必要なデータをすぐに参照できるようにする。

 これまで企業データのバックアップはテープドライブで行うケースが多かった。しかし、NetAppの社長 トム・メンドーザ(Tom Mendoza)氏によると、米国ではリカバリの処理時間を考えてテープからより高速なディスクドライブに移行する顧客が増えているという。データベースやERPの構造化データ以外に、オフィスドキュメントや電子メール、PDF、画像など非構造化データの利用が増え、より高機能なバックアップ/リカバリサービスが求められている背景もある。ウォーメンホーヴェン氏によると、NearStoreのビジネスはNetApp全体のビジネスの中でも大きな位置を占めるようになりつつあるという。

 NASベンダとして考えれることが多いNetAppだが、NetApp自身はストレージ・グリッドの展開に合わせて、どのプロトコルでも透過的にユーザーがストレージにアクセスできる仕組みづくりに取り組む考え。ウォーメンホーヴェン氏は「顧客が望むのは、UNIX、WindowsのファイルシステムやファイバチャネルのSAN、IP-SANなどのプロトコルを統合し、シンプルな統合ストラクチャを構築することだ」と述べたうえで、「グリッドを提唱するベンダは多いが、ほとんどがサーバに着目している。ストレージでグリッドを考えているのはNetAppだけだ」と強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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