2005年は「コンポジット・アプリケーション」に注目

2005/1/5

 2004年後半からぽつぽつと登場してきたキーワード「コンポジット・アプリケーション」は、2005年に注目されるキーワードの1つだ。すでにSAP、シービヨンド、インターシステムズ、プラムツリーなど、主要なERPベンダ、EAIベンダ、ポータルベンダが「コンポジット・アプリケーション」という言葉を使い始めている。コンポジット・アプリケーションは、2004年に注目されたSOAとRFIDという2つのテクノロジを背景にして、2005年の企業システムの構築に新しい変化をもたらすと予想される。

 コンポジット・アプリケーションの“コンポジット”は複合という意味で、企業内の複数のアプリケーションからなる統合アプリケーションを指す。従来のEAI的なアプリケーションとほぼ同じ意味だが、多くのベンダはSOAに対応したオープンな基盤の上で構築された統合アプリケーションという文脈の中でコンポジット・アプリケーションを用いる傾向にある。調査会社のガートナーも、分散アーキテクチャでミドルウェアを利用したものをコンポジット・アプリケーションの条件にしている。

 象徴的な例がSAPだ。SAPは企業内アプリケーションの中心に同社のERP「R/3」を置き、「R/3」を中心に企業システムを統合するという、独自アーキテクチャによる一枚岩的なシステム構築を提唱してきた。しかし、SOAの視点から考えれば、「R/3」のようなERPアプリケーションが中心になるのではなく、統合されるべき単なるサービスの1つであると考える方が自然である。SAPもSOAの普及とともに、「R/3」をシステム統合の中心とする役割りから、SOAにおけるサービスの1つへとポジションを変えていった。同社にとってはコア製品の位置づけを変えるという大転換だ。

 同社はいま、「企業システムの統合基盤となるのはオープンなSOAテクノロジであり、SOAに対応した「NetWeaver」が新しい統合基盤に対応した製品(群)だ」としている。その上で、「R/3」や他社のビジネスアプリケーションをサービスのようにプラグインして連携させ、コンポジット・アプリケーションの構築を実現していこうとしている。

 同じように、いままでEAIのためのプラットフォームやツールを提供していたベンダは、こぞってコンポジット・アプリケーションのためのプラットフォームの提供を始めている。2005年には、ERP、BPM、ポータル、Webアプリケーションサーバなど多くのベンダが、コンポジット・アプリケーションに対応した製品展開にうって出ることだろう。XMLからWebサービス、SOAと進化してきたテクノロジが、企業アプリケーションに対する影響力を高めつつある。

 コンポジット・アプリケーションによって構築される企業アプリケーションは、RFIDの登場によって新たなアーキテクチャへの対応を迫られようとしている。つまり、RFIDによって引き起こされる情報量の増大と、リアルタイム性のサポートがキーとなっているのである。

 いままでのアプリケーションは、ある品物が、出荷や入荷などのアクションで移動する際の物流情報管理をバーコードなどで行っていた。バーコードから得られるのは、単品ごとのJANコード程度である。しかし、RFIDではJANコードだけでなく、生産者・加工者情報や流通経路情報といった大量のデータを含めることができる(経路が増えるごとの情報の書き込みすら可能になる)。また、従来のアプリケーションは、単品ごとに大量の情報を管理したり、情報の書き換えを行えるように設計されていない。RFIDの特徴を生かしたアプリケーションを構築するには、データ構造といった根本的な部分での見直しが求められるかもしれない。

 RFIDのもう1つの特徴はリアルタイム性が高くなる点だ。例えば、ベルトコンベアで商品が移動している状態をセンサーが読み取り、入庫情報としてアプリケーションに伝えるといったダイナミックなデータが大量に発生する。ここで人間が「アプリケーションのメニューから在庫処理を選び、スキャンの開始ボタンを押して」といった操作が必要では、RFIDの利点を削いでしまう。人間が介在しなくとも、RFIDからのデータ発生をトリガーにして新たな処理を開始する、といったイベントドリブンなシステムのあり方が求められるだろう。

 いままで企業システムの連携や統合には、ERPやWebアプリケーションサーバ、BPMツール、企業ポータルなどさまざまな選択肢があった。2005年はそこにコンポジット・アプリケーションという新しいジャンルが登場し、さらに新しいアーキテクチャを備えたソフトウェアが登場してにぎやかになっていくことと予想される。

(編集局 新野淳一)

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