【International CES 2005レポート】
「データ/音声の次の波はコンシューマ分野で」とビル・ゲイツ

2005/1/8

今回のCESの基調講演は、最初から最後までNBCの人気司会者オブライエン氏によるトークショウ形式で進行した

 「TVから写真、音楽鑑賞まで、すべてはデジタル化に向かう。直接会ったことのない者同士が、さまざまなデバイスや通信手段を使ってコミュニケーションをするようになるだろう」と、米マイクロソフト会長兼チーフアーキテクトのビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は「International Consumer Electronics Show(CES)2005」の基調講演で語った。CES 2005は1月6〜9日にわたって米ネバダ州ラスベガスで開催され、ゲイツ氏の講演は開幕前夜に行われた。

 同氏のこのコメントは、米TV局のNBCのトークショウ「Late Night with Conan O'Brien」の司会を務める人気コメディアン コナン・オブライエン氏の「コンシューマ分野の将来予測は?」という質問に対して語ったものだ。ゲイツ氏とオブライエン氏の2人によるトークショウ形式で進行する、この一風変わった基調講演のメインテーマは「コンシューマ分野は、デジタル化でどこまで便利になるのか?」だ。ありきたりの予想に、オブライエン氏が皮肉交じりのコメントを返すことで、具体的なサービスや取り組みが紹介される趣向となっている。

 基調講演では、Windows Media Center Editionから、タブレットPCや携帯、PDAなどの組み込み用途向けWindows、Xbox、そして腕時計型デバイスのSPOT(Smart Personal Object Technology)まで、さまざまなマイクロソフトの技術が紹介されたが、技術や製品的に特に目新しいものはみられず、これらデバイス上でサービスを展開することになる関連各社とのアライアンスが数多く発表された。裏を返せば、それだけ製品や市場が成熟しつつあることの表れだといえるかもしれない。実際ゲイツ氏によると、「2004年にWindows Media Centerの販売は倍増している」という。

 この中の注目の話題は、「IPTV」と呼ばれるサービスである。IPTVは、Windows Media Technologyを使って、ブロードバンド回線やCATV網上でTV番組を配信する。通常のアナログ放送やデジタル配信よりも圧縮効率が高いため、より効率的に番組を配信することが可能だ。すでに2003年から各社と配信実験を続けており、今回のCESではその成果の一部が紹介された。

 この配信実験に参加している通信事業者の1つ米SBCコミュニケーションズでIPサービス部門の上級副社長を務めるリア・アン・チャンピオン(Lea Ann Champion)氏は、「番組チャンネルの切り替えラグもほとんどなく、事業者は多くのコンテンツをビデオ・オン・デマンド形式で配信できる。メジャーリーグのすべての試合を、試合結果とともに同時に一覧表示させたり、1つの試合を別アングルで表示させたりすることが可能で、自由度も高い」と、通信のIP化と高圧縮技術の組み合わせで、より付加価値の高いサービスが提供できると説明した。

 2つ目の注目点は、携帯型デバイスへの音楽/ビデオ配信である。マイクロソフトでは、PlaysForSureと呼ばれる、Windows XPベースのPCを介してTVや携帯機器同士を接続し、データの転送や再生を行う標準規格の普及を進めているが、パートナーが拡大したと報告した。また、音楽専門チャンネルを運営する米MTVネットワークスとの提携や、米TiVo(ティーボ)が販売するDVR(Digital Video Recorder)と呼ばれるHDDレコーダで記録したTV番組映像を、Windows XP搭載のノートPC等で再生可能にする取り組みも発表している。ゲイツ氏は「若年層を中心にデジタル音楽配信を利用する層が増えてきており、近い将来には、それらコレクションをPC上で管理することが一般的になるだろう」と、音楽配信事業にも高い関心を寄せていることを示すコメントを述べている。


米SBCコミュニケーションズが展開する、IPTVのサービスの一例。メジャーリーグ中継を一覧形式で表示することができる
  2004年12月に発表されたIBMのPC事業の中国企業への売却を皮切りに、IT業界では次々と大型買収/合併に関するニュースが報じられた。直近では、マイクロソフトのItanium版Windows XPの開発中止や、トランスメタのプロセッサ開発撤退などの報道があり、PC業界を取り巻く状況は急激に大きく変化しつつある。2004年秋に開催予定だったコンピュータ総合展示会のComdexは出展者や来場者の大幅減少から中止となった。PC業界は1つの転換点に達しつつあるようだ。

 一方で、デジタルTV放送など、電子機器総デジタル化時代を目前に、消費者家電業界では大きな盛り上がりを見せつつある。Comdexなきいま、米国内で唯一の総合展示会となった今年のCESは、今後のIT業界の方向性を計るものさしの1つとなった。今回のCESでは、マイクロソフトの発表に見られるように革新的な技術は少なく、代わりにサービス事業者の活躍が目立つ。多くのユーザーを引き付けるサービスを提供できた事業者が、2005年以降数年間、業界をリードすることになるかもしれない。

(鈴木淳也/Junya Suzuki)

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