Java対応にERP連携、新機能の搭載相次ぐ複合機

2005/2/1

 大塚商会とリコーは1月31日、リコーのデジタル複合機を大塚商会のERPパッケージ「SMILE α AD」のデータ入力端末として利用する新ソリューション「DB-DocLink」の販売を3月22日に開始すると発表した。デジタル複合機とERPなど企業の基幹システムとの連携は、リコーや富士ゼロックスなど複合機メーカー各社が注目している分野。リコーの常務取締役 我妻一紀氏は「2005年は、アプリケーションと連携する複合機がオフィスに欠くことができないものとして認知される元年になる」と語り、次世代複合機の販売に自信をみせた。

右から大塚商会の専務取締役 長島義昭氏、リコー 常務取締役 我妻一紀氏、OSK 専務取締役 田中努氏

 DB-DocLinkは、リコーの複合機「imagio Neo C455シリーズ」の液晶操作パネルで、SMILE α ADの顧客データを呼び出し、その顧客データに関係する仕様書や図面をC455でスキャンすると、自動的にスキャンデータと顧客データがひも付けられてSMILE α ADのデータベースに保存される仕組み。SMILE α AD上で顧客データと画像データの一元管理が可能になり、業務効率が上がるとしている。

 DB-DocLinkは、C455に搭載されたJava対応のアプリケーション開発プラットフォーム「Embedded Software Architecture」(ESA)が実現する。ESAはJava 2 Platform Micro Edition(J2ME)に対応し、Javaアプリケーションを稼働可能。リコーは自社で開発した業務連携のためのJavaアプリケーション「エージェントスキャン」をこのESA上で動作させている。C455自体はNetBSDをOSとして採用している。

 一方、SMILE α ADには大塚商会の100%子会社、OSKが開発した「αドキュメントダイレクト」をインストールし、SMILE α ADのデータをエージェントスキャンが読み取れるようXMLファイルで出力する。複合機の操作パネルを定義するデータもαドキュメントダイレクトが用意し、複合機に送信する。「あたかもERPの端末のような感覚で複合機が使える」(OSK 専務取締役 田中努氏)。

 αドキュメントダイレクトはSMILE α ADの「会員管理」「保守管理」「工務店管理」「不動産管理」「人事管理」「人材派遣管理」の各機能に対応。「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)や「e文書法」に対応した機能がSMILE α ADに対応するのに合わせて、αドキュメントダイレクトも連携機能も今後強化する方針だ。

 リコーは今後出荷するすべての複合機をESA対応にして、業務アプリケーションとの連携を顧客企業にアピールする考え。レーザープリンタの主要製品もESAに対応させる。富士ゼロックスが1月6日に発表した複合機「Apeosシリーズ」もインターフェイスにXML、SOAPを採用し、業務アプリケーションとの連携をうたっている。

 C455、SMILE α ADともJava、XMLとオープンな使用を採用しているため、別のパートナーの製品と連携させることも可能だ。リコーの我妻氏は「できる限りオープンに広げたい」と話し、SMILE α AD以外の業務アプリケーションとの連携の可能性に意欲を見せる。しかし、「苦労して大塚商会、OSKと開発してきたので、まずは大塚商会と連携する。時期が来れば他社に広げたい」とも述べた。OSKも「いまはリコーしか見ていない。他社に広げる場合もリコーと協議したうえで決める」と説明した。

 価格はエージェントスキャンが9万5000円、αドキュメントダイレクトは10万円。SMILE α ADの顧客管理とC455を組み合わせたDB-DocLinkの標準構成は308万5000円から。大塚商会、リコーは両社の既存顧客を中心に販売、2005年度に1000システム、30億円の販売を目指す。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
大塚商会の発表資料
リコー

[関連記事]
ピープル買収に成功したオラクル、SAPと一騎打ちに (@ITNews)
“ばら売り戦略”を続けるSAP、分析ツール市場に参入 (@ITNews)
日立のERPパッケージ、フレームワークを採用して装いも新たに (@ITNews)
SAPがEAI市場の開拓を宣言、「SAP XI」で殴りこみ (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)