HPを去るフィオリーナCEO、事実上の解任か

2005/2/11

米ヒューレット・パッカードの会長兼CEOを辞任したカーリー・フィオリーナ氏。欧米の報道によるとストックオプションを含め退職金として20億円以上を受け取るという

 米ヒューレット・パッカードは会長兼CEOのカーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏が2月9日付け(米国時間)で辞任したと発表した。後任のCEOにはCFOのロバート・ウェイマン(Robert P. Wayman)氏が暫定的に就き、代表権のない取締役会会長には取締役のパトリシア・ダン(Patricia C. Dunn)氏が就任する。コンパックコンピュータとの合併など大胆な戦略で注目を集めた有名CEOがHPを去る。

 フィオリーナ氏は米ルーセント・テクノロジーなどを経て1999年にHPのCEOに就任。HPに分散していた事業部門を積極的に統合し、自らに権限を集中させてきた。2002年には競合のコンパックを190億ドルで買収し、HPに統合した。

 フィオリーナ氏は強力なリーダーシップによって事業を拡大させてきたが、HPの事業構造の改革は難しかった。HPの営業利益の過半はプリンタ事業が稼ぎ出している。IBMに並ぶベンダになるために成長が期待されているサーバ、ストレージ事業は、HPの柱になるほどには利益を出していないのが現状だ。2005年1月にはプリンタ事業部門と、PCやPDAの事業部門を統合すると発表していた。

 フィオリーナ氏の辞任の背景には取締役会との対立があったようだ。権限の集中を主張するフィオリーナ氏に対して、事業部門への権限委譲を迫る取締役会の不満がたまり、事実上の解任になったとの見方もある。フィオリーナ氏は「取締役会と私の間で、HPの経営戦略の遂行について相違があったことは残念なことではありますが、私は取締役会の決定を尊重します」とのコメントを発表し、辞任への無念さをにじませた。

 HPは新CEOの選定を急ぐ。コモディティ化によって収益性が低下したPCやサーバ、ストレージをプリンタ事業に並ぶ柱に育てるにはどうすればいいのか。新CEOが取り組むべき課題は多い。

(@IT 垣内郁栄)

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日本ヒューレット・パッカードの発表資料

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