普及前に知っておきたいセマンティックWeb

2005/2/11

 「セマンティックWebは現在、第2フェイズに入っている」。慶応大学教授でW3Cアジア地区ディレクタの萩野達也氏は2月10日に開催された「セマンティックWebコンファレンス2005」(主催:慶応大学 SFC研究所/財団法人 情報処理相互運用技術協会[INTAP])で講演し、セマンティックWebが普及をにらむ第2フェイズに入っていることを説明した。

慶応大学教授でW3Cアジア地区ディレクタの萩野達也氏

 セマンティックWebとはWebサイトの意味をコンピュータに理解させ、より高品質な情報の収集を可能にする技術。コンピュータにWebサイトの情報を理解させるため、Webサイトで使われる言葉のメタデータをXMLベースのメタデータ記述用フレームワーク「RDF」 (Resource Description Framework)を使って設定する。旅行に関するWebサイトでは、そのWebサイトのタイトル、作成者、作成者の所属、Webサイト内で扱われる観光地などがメタデータとしてWebサイトにひも付けられる。

 コンピュータに言葉の意味を理解させるためには、その言葉を取り巻く関係性も教える必要がある。例えば「旅行」のキーワードで検索した場合、旅行という言葉を使っているWebサイトは見つけられても、「旅」「トラベル」など旅行と同義語を使っているWebサイトを検索できないのでは、役に立たない。セマンティックWebではこの言葉ごとの関係性を「オントロジ」と呼び、「語彙(ごい)のネットワーク」として定義していく。定義はオントロジ言語のOWL(Web Ontology Language)を使う。同義語だけを集めるのではなく、反義語やより上位、下位の言葉も関係性の中に含めることで、コンピュータによるWebサイトの内容の推論が可能になり、セマンティックWebで収集できる情報の質が向上すると期待されている。

 萩野氏が講演で述べたセマンティックWebの第2フェイズとは、RDFやOWLの仕様をW3Cが策定した第1フェイズが終わり、実運用を想定した仕様の策定が進んでいることを指す。同じセマンティックWebコンファレンス2005で講演したNTT情報流通プラットフォーム研究所の佐藤宏之氏によると「2004年2月にOWLがW3C勧告となり、それ以降W3Cでは実践的なアプリケーションに関する検討やルール記述言語などに活動の中心を移してきている」という。

 具体的には「Semantic Web Best Practices and Deployment Working Group」「RDF Data Access Working Group」の2つのワーキングループをW3Cに設置。Semantic Web Best Practices and Deployment Working Groupのタスクフォースではソフトウェア工学におけるセマンティックWeb技術の応用なども検討しているという。

 萩野氏はセマンティックWebの普及について「企業などのイントラネットでの利用が増えるのではないか」と述べた。セマンティックWebは認証技術にまだ問題があり、パブリックなネットワークで利用するのは難しい。そのため「信頼できる組織同士でさまざまな情報をRDFで記述して、それを連携する」などの利用法がまずは考えられるという。ただ、萩野氏は「セマンティックWebは社会に及ぼすインパクトが大きい」として、「ドキュメント、メタデータなど下の階層から慎重に作ることが重要だ」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
財団法人 情報処理相互運用技術協会(INTAP)
慶応大学 SFC研究所

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