「出して守る」、マイクロソフトの中堅向け個人情報保護対策

2005/3/1

 マイクロソフトは2月28日、「Windows Server 2003 Standard Edition」「Exchange Server Standard Edition」「Windows Rights Management Services」を組み合わせた中堅企業向けの情報保護対策パッケージ「スマート情報保護パック」を3月1日に発売すると発表した。サーバ製品とCALをセットにした最小構成価格は23万1280円で、単品で購入する場合と比較して約20%割安になるという。4月1日に完全施行される「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)への対策は、大企業ではほぼ完了。今後は中堅企業の対策が進むとマイクロソフトは判断している。

マイクロソフトの業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長 鈴木和洋氏

 マイクロソフトの業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長 鈴木和洋氏は個人情報保護法への対策について、「大企業の多くはかなり手を打ってきた。しかし、中堅企業に目を移すと従業員数300人以上500人未満の企業では60%あまりが個人情報を管理できていない」と指摘した。

 スマート情報保護パックは従業員数50人以上1000人未満の中堅企業に対して、情報共有と情報保護の2つの機能を提供するのが特徴。情報共有はExchange Serverと、Windows Server 2003に含まれるワークグループツール「Windows SharePoint Services」が提供。情報保護は、Windows Server 2003の「Active Directory」と、ファイル単位でアクセス権限を設定できるWindows Rights Management Servicesで実現する。

 マイクロソフトが特に強調したいのがActive Directory。一元的なID管理のほかに、クライアントPCに接続するUSBメモリやCD-Rドライブなど外部記憶装置の利用を制限できる機能をアピールする。対策のキーワードは情報共有と保護を同時に実現する「ビジネス情報は、出して守る」。

 23万1280円の最小構成価格はサーバラインセンスのほかにWindows Server 2003とExchange Server、Windows Rights Management ServicesのCALがそれぞれ1ライセンス含まれる。追加のCALは5ライセンスからで、1セット10万400円。単品と購入するのと比べて5020円割安だという。

 Windows Rights Management Servicesを使ってファイルを管理するには、オフィス製品の最新版「Office 2003」が必要だが、マイクロソフトでは「企業はOfficeを最新版にバージョンアップするコストよりもマイグレーションのコスト、運用管理コストを意識している」として、マイグレーションや運用管理のためのノウハウやドキュメントを提供し、企業をサポートするという。

牧野総合法律事務所の弁護士 牧野二郎氏

 スマート情報保護パックの提供に合わせてシマンテック、トレンドマイクロ、マカフィー、ラックの4社が対応製品や対応サービスを用意する。シマンテックは「Symantec Mail Security for MS Exchange」「Symantec AntiVirus for MS SharePoint」を通常価格の20%引きで提供。ラックは企業で使うPCのセキュリティ診断、現状把握とその解決策を提供するASPサービス「職場のPCセキュリティコンサルティングASPサービス」(価格は20万円)を開始する。

 牧野総合法律事務所の弁護士 牧野二郎氏はスマート情報保護パックの発表会見で講演し、個人情報保護について「個人の落ち度をシステムがどうカバーし、支えるかを考えないといけない」と指摘。そのうえで個人情報が収められたデータベースへのアクセスを制限するアクセス制御や、データベースのアクセスログを分析して、情報漏えいの原因を探るファレンジック、業務委託先など目が届かないところからの情報流出を防止するファイル暗号化やアクセス管理の技術が重要になると述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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マイクロソフトの発表資料

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