サイボウズがM&A実施を明言、「やるやる詐欺ではない」

2005/3/9

 サイボウズが3月8日に発表した2005年1月期(2004年2月1日〜2005年1月31日)の連結決算は、売上高が上場以来最高の29億2300万円となった。経常利益は前期比16%増の5億2400万円、純利益は19%増の3億900万円だった。主力グループウェア製品の堅調な売り上げと、販管費、広告宣伝費の圧縮が利益の上昇につながった。今期は大企業向けグループウェアの新バージョン「サイボウズ ガルーン2」の投入と積極的なM&A、他社とのアライアンスで事業の拡大を目指す。

サイボウズ 副社長 青野慶久氏。4月に代表取締役社長 CEOに就任する

 ガルーン2は2005年夏に投入する予定。サイボウズの副社長 青野慶久氏はガルーン2について、「ユーザー、管理者の使いやすさを追求する。セキュリティ機能も向上する」と説明した。現在の代理店制度も強化する方針で、「ターゲット顧客層に応じて販社を絞り込む」と話した。ガルーンなど大企業向けの製品では、システム・インテグレーションを行う販社を活用。中小企業向けでは現在のオンライン販売と、幅広い顧客層を持つ販売パートナーと連携する。

 製品のライセンス体系も見直して、現在の売り切り型から年間ライセンスなど継続して収益を挙げられる新しいライセンスを設ける。サポートやメンテナンス、バージョンアップの新商品を用意する方針。ASPサービスの拡大も検討する。

 サイボウズは4月に開催する株主総会で、現在の代表取締役社長の高須賀宣氏が取締役会長に就き、青野氏が代表取締役社長 CEOに就任する。高須賀氏はこの人事について「既存ビジネスの拡大は青野、外部とのM&A、アライアンスで事業を拡大し、サイボウズをグループ化するのが高須賀と役割を分担した」と説明した。

 サイボウズはM&Aについて2004年も積極的に展開する方針を示していたが、具体化した案件はなかった。高須賀氏は「今期は必ず資本を絡めたM&Aを実施する。やるやる詐欺ではない」と断言。手持ちのキャッシュの20億円を活用し「リスクをとる」と強調した。

 高須賀氏はM&A、アライアンスの検討先として、国内で顧客基盤を持っている企業、海外ですでに販売チャネルを持っている企業、業務アプリケーションベンダなどを挙げた。また、ASP関連の技術を持つ企業や、Webサイトを使ったビジネスやモバイル向けビジネスを展開するために決済技術を保有する企業などに注目しているという。

 高須賀氏は「今期はM&A、アライアンス実施後、1年以内に効果が出る企業に対象を絞る。サイボウズの既存ビジネスの延長にある技術、現状では既存ビジネスとの連携はないが、今後期待できる技術に注目する」と述べた。

 サイボウズの2006年1月期の連結業績は、売上高が前期比9%増の31億8100億円。経常利益は21%増の6億3500万円、純利益は3億4500万円の予想。グループウェア製品は、2005年1月期とほぼ同じ26〜27万人のユーザー獲得を目指す。

(@IT 垣内郁栄)

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サイボウズの発表資料

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