「リッチを認める」、NECのシンクライアントは現実路線

2005/3/11

 NECはITとネットワークの統合ソリューション「UNIVERGEソリューション」の情報漏えい対策の強化として、シンクライアントを採用した「UNIVERGEデータ集中化ソリューション」の販売を始めたと3月10日に発表した。シンクライアントを使い情報漏えい対策を行うソリューションは日立製作所なども発表しているが、NECの執行役員 都筑一雄氏は「NECの違いはリッチクライアントを認めること」と述べ、他社との違いを強調。「リッチクライアントとシンクライアントの混在の環境下でもセキュリティを守れることを提案したい」と述べた。

NEC 執行役員の都筑一雄氏

 UNIVERGEデータ集中化ソリューションはシトリックス・システムズの「MetaFrame」を採用。ビジネスのデータやアプリケーションをMetaFrameサーバ上に置き、クライアントPCには表示イメージだけを配信する。データがPCに保存されない仕組みなので、PCの盗難などでも情報漏えいが起きないようになっている。

 UNIVERGEデータ集中化ソリューションはシンクライアント環境でIP電話やWeb会議システムを利用できるようにしたのが特徴。IP電話のソフトフォンやWeb会議のクライアントソフトウェアをクライアントPCにインストールするものの、電話帳データやWeb会議の資料はMetaFrameサーバに保存し、クライアントPCから情報漏えいが起きないようにする。IP電話をかける際は、クライアントPCのソフトフォンからMetaFrameサーバ上の電話帳にアクセスし、電話番号をクリック。MetaFrameサーバがSIPサーバの「UNIVERGE SV7000」に命令を出し、通話を確立させる。IP電話の音声パケットはMetaFrameサーバを経由せず、SIPサーバとPCが直接通信することになる。

 NECのUNIVERGEソリューション推進本部 本部長 依田康男氏はUNIVERGEデータ集中化ソリューションについて、特別なPCを用意しなくても既存のクライアントPCにMetaFrameのクライアントソフトをインストールするだけで利用できることを説明し、「既存のシステムのままで安価、簡単に導入できる。利便性とセキュアな環境を両立させられる」とメリットを説明した。「リッチクライアントとシンクライアントを融合し、現実的に使ってもらえるソリューション」というのが売り文句だ。

 UNIVERGEデータ集中化ソリューションは、NECのブロードバンドオフィスソリューションが導入済みの場合で、20ユーザー75万円から。新規導入の場合で20ユーザー820万円からとなっている。NECでは東京・品川のオフィスで働く約400人のクライアントPCも順次、UNIVERGEデータ集中化ソリューションに対応させていく方針だ。

 また、NECはUNIVERGEソリューションの情報漏えい対策として、入退室管理とクライアントPCのログオン、ネットワークの利用を連携させる「UNIVERGEフィジカルセキュリティソリューション」を開発し、発売した。入退室やPCのログオン、プリンタの使用など企業内の認証を1枚のICカードに集約。入室時にICカードで認証していないユーザーはクライアントPCにログオンできなかったり、無線LANを利用してネットワークに接続できない、プリンタで印刷できないなど物理的な認証とITの認証を連携させる。入退室管理システムやカードリーダーをIP対応にすることで、本社・支社など全国での統合管理、人事システムとの統合が可能だという。価格は1000万円から。

 NECはほかにIP電話の通信暗号化ソリューションも発表するなど、今後はUNIVERGEの情報漏えい対策ソリューションを強く売り出す考え。都筑氏は「発表は遅きに失した面もあるが、とにかくネットワークの水際では大丈夫というソリューションを提供できる」と話した。NECによるとUNIVERGEのセキュリティソリューションの売り上げは年間100億円弱。情報漏えいソリューションの投入で1年半程度で300億円まで増やすことを目指す。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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