MSの新認証プログラム、海賊版対策でないなら何のため?

2005/3/16

 マイクロソフトは3月15日、Windows XPとWindows 2000を対象に、マイクロソフトのWebサイトからのダウンロードをOSの正規ユーザーだけに限定する新しい認証プログラムを2005年後半にも本格導入する予定と発表した。アジアの一部の国などで増えている海賊版のWindows OSを締め出すための措置で、米マイクロソフトがワールドワイドで行っている。

 マイクロソフトが導入する認証プログラムの名称は「Windows Genuine Advantage プログラム」(WGAプログラム)。認証するにはまずマイクロソフトの「ダウンロードセンター」にアクセスする。パッケージ版、システムビルダー版のOSの場合は、自動的に認証用のActiveXコントロールがインストールされ、認証キーがダウンロードされる。OSがインストール時にライセンス認証(アクティベーション)されていない場合は、ライセンス認証を求めるメッセージが表示される。ボリュームライセンス版もActiveXコントロールをインストールし、ライセンスを確認する。

マイクロソフトのWindows本部 コンシューマWindows製品部 シニアプロダクトマネージャ 菅伸吾氏

 OSがPCにプレインストールされたOEM版の場合は、ActiveXコントロールをインストールした後にPCに貼付されているシール状の「COA」(出所に関する証明書)に記載されているOSのプロダクトIDを入力する。正しいプロダクトIDが入力されると認証キーが発行される。正しいプロダクトIDを入力できなかった場合は、PCのメーカーや購入店名などを入力すれば、マイクロソフトが設定するルールに基づき、認証キーが発行されるという。ライセンスの確認はいずれも1度行うだけ。

 アクセスにWGAプログラムの認証キーが必要になるのは、ダウンロードセンターと「Windows Update」。セキュリティ修正プログラムなど重要なプログラムは対象外。自動更新の機能も対象外となる。具体的にどのソフトウェアのダウンロードがWGAプログラムの対象にするかは今後検討する。

 マイクロソフトは、Windows XPを対象にしたWGAプログラムの試験運用を3月15日に開始。ダウンロードセンターからWindows XPのモジュールをダウンロードする際には、WGAプログラムの認証を任意で行う必要がある。セキュリティ修正プログラムなど重要度が高いモジュール、Windows Update、自動更新は対象外。試験運用のフィードバックを受けて、本格導入時の内容を変更することも検討する。

 マイクロソフトはまた、違法コピー対策としてWindows XPのライセンス認証のポリシーを変更した。PCにプレインストールされたOEM版OSのプロダクトIDを使って、インターネット経由のアクティベーションをできないようにした。マイクロソフトのWindows本部 コンシューマWindows製品部 シニアプロダクトマネージャ 菅伸吾氏によると、OEM版OSのプロダクトIDが転売され、海賊版OSのアクティベーションに悪用されるケースがあったという。菅氏によると「日本ではほとんど問題ないが、COAやプロダクトIDが一部のネットオークションで販売されることが確認できた」という。

 今回の措置は海賊版の撲滅を目指すマイクロソフトのワールドワイドの取り組みを受けた内容。確かに海賊版の利用が多い一部の国では一定の成果が期待できる。しかし、日本など海賊版の利用が少ない国のユーザー、企業の情報システム部は作業が増えるだけだ。マイクロソフト自身が「日本は他国と状況が違う。偽造はほとんどない」(菅氏)と認める中で、WGAプログラムを開始することの意味づけは確かでない。

マイクロソフトのWindows本部 本部長 ジェイ・ジェミソン氏

 マイクロソフトは、このようなユーザーの声を先取りし、WGAプログラムの認証を受けたユーザーだけがダウンロードでき、フリーで利用できる「特典ソフトウェア」を用意した。画像のスライドショーを作成できる「Microsoft Photo Story 3」、「Microsoft Office OneNote 2003」の180日限定評価版、「圧縮(LZH形式)フォルダ」の3本。圧縮(LZH形式)フォルダは日本限定のソフトウェアで、4月に提供開始する。

 マイクロソフトのWindows本部 本部長 ジェイ・ジェミソン氏は「日本でのWGAプログラムはWindowsの顧客に対してすばらしい価値を与えることが第1の優先順位」と述べ、偽造対策だけでWGAプログラムを導入するとの見方を否定。菅氏も、海賊版の問題をソフトウェアの無償提供とすり替えているとの指摘に対して、「問題のすり替えではない。日本は(海賊版の)問題自体がない」と述べ、WGAプログラムの開始を「フォーカスするのはWindowsユーザーに対して特典を与えること」と強調した。

(@IT 垣内郁栄)

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マイクロソフトの発表資料

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