中小企業金融の新市場「電子融資」を狙え

2005/3/18

ガリアプラス 取締役審査本部長 田中丸修一氏

 ミロク情報サービスと中小企業向け売掛債権流動化サービスの専業企業ガリアプラスは3月17日、「中小企業金融の新たな形“電子融資”の現状と課題」と題したセミナーを開催した。e-Japan重点計画2004における先導的7分野の1つに、中小企業向けの融資手続きをオンライン化し、資金調達環境を改善することで経済状況の活性化を促進させるという成果目標がある。政府調達の電子化(および透明化)という成果目標もあり、両社では、この2つは電子融資サービス市場の拡大を促す契機になるとみている。

 ただし、現状では電子融資に関していくつかの課題が指摘できる。その1つが与信問題である。「金融機関、特に銀行では、与信の低い立場の中小企業に融資する取引は担保または安心が必要だと感じている」とミロク情報サービス 経営管理部 兼 e-Japan推進室統括部 部長 吉岡賢司氏は指摘する。財務データの真正性の問題、本人確認・存在確認の問題、モニタリング(返済原資の恒常的な有無)の問題など、与信に関わる課題を解決しないことには、中小企業向け電子融資サービスの本格化はなかなか難しいのが実状であると吉岡氏はいう。

 ミロク情報サービスではその解決策として、自らの強みでもある会計事務所とのネットワークを活用するアイデアを用意している。財務データを管理する会計事務所を通すことで、融資申込みを行う中小企業の信用度を高める。会計事務所向けパッケージソフト開発で3大手といわれるのは、TKCとJDL、ミロク情報サービスであり、この3社はそれぞれ国内にある会計事務所の25%程度と取引を持つ。つまり、この3社で国内の会計事務所75%と取引を行っているということになる。ミロク情報サービスの会計事務所の顧客数は約8400。同社にとってこのインフラストラクチャは、中小企業金融サービスを展開するうえでの最大の強みとなる。

 中小企業金融の具体的なサービスの1つとして、売掛債権担保融資(RBL)がある。平成14年度法人企業統計年報によると、資本金1億円未満の企業における売掛債権残高は約78兆円。ガリアプラス 取締役審査本部長 田中丸修一氏は「売掛債権を活用したファイナンスは、今後数年間に急速に発達することが確実に見込まれる」と話す。実際、三井住友銀行を始めとした一部の金融機関やノンバンクが試験的に商品化を開始している。同社では売掛債権担保融資サービスを電子化することで、大量の売掛データを効率的に管理する方法を実現、従来は不可能とされた小口売掛金の価値評価を可能にし、サービスの幅を広げた。

(@IT 谷古宇浩司)

[関連リンク]
ミロク情報サービス
ガリアプラス

[関連記事]
中小企業金融サービスという金脈へ、ミロク情報と日立ソフト提携 (@ITNews)
日立、ジャストと日立ソフト、共同でKMを推進 (@ITNews)
MSと日立ソフト、汎用化したMS社内システムを発表 (@ITNews)
金融分野に勝利の旗を立てられるか? SAP+アクセンチュア (@ITNews)
NetAppが金融向け専任チーム、海外の実績は通用するか (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)