大規模システムに有利? オープンソースのコスト削減効果

2005/4/5

 国内のベンダ、システム・インテグレータ13社が参加する日本OSS推進フォーラムのビジネス推進ワーキンググループ(主査:富士通 工内隆氏)は4月4日、オープンソースソフトウェアの利用を検討するユーザーがTCOを測定する際のガイドとなる「オープンソースソフトウェアのTCOガイド Ver1.0」(PDF)を、日本OSS推進フォーラムのWebサイトで公開した。

 ガイドはユーザー自身が商用ソフトウェアとOSSのTCOを測定し、プラットフォームの選択を支援するのが目的。OSSのTCOについては調査会社やコンサルティングファームなどがさまざまなレポートを発表している。しかし、ガイドでは「TCO評価は一種の自己アセスメントであると見なして、利用者自らがTCO評価項目を定義すべきであろう」として、TCOを評価する際の項目の候補リストを示している。

 システム導入費用に関しては、商用ソフトウェアに対するOSS(Linux)の優位点として、UNIXサーバと比較した場合のIAサーバのコストパフォーマンス、WindowsのCALがないこと、OSSのミドルウェアが適用できる条件のシステムでは、商用ミドルウェアで構築したシステムと比較してOSSが低価格なことを挙げた。

 ただ、ガイドはOSSを採用するうえでの注意点も同時に説明し、OS価格については「ディストリビュータ、ベンダの有償サポートを併せて考慮」「商用ミドルウェアとOSSのミドルウェアには、機能・信頼性で差があることには注意」などと記載している。

 運用費用については、「小規模なOSS投入は、短期的には、多少の運用費用の増加になる可能性もある」としてユーザーに注意を呼びかける。ただ、「運用の容易性のために、採用規模が大きくなるに従って、Linuxの運用費用削減効果は大きくなる」としている。また、OSSのビジネス利用では、「保守費を見込むことが必要」などと指摘した。

 アプリケーションの開発費用についても「大規模な開発ほど、開発効率、開発スピード、開発したアプリケーション資産の長期維持の観点が重要である」としてTCOの重要性を説明。OSSの特徴として「Linux/OSSは、商用ソフトにありがちな機能拡張競争から距離を置き、簡素な機能セットを重視する傾向があり、Linux/OSS利用の方が、方式設計の容易さ、組み合わせ検証費用の低減、開発スピード向上が期待できる」などとしている。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
オープンソースソフトウェアのTCOガイド Ver1.0(PDF)
日本OSS推進フォーラム

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