マイクロソフト社長が交代、いろいろあるけど「基本を継続」

2005/4/21

 マイクロソフト日本法人は4月20日、代表執行役 社長のマイケル・ローディング(Michael Rawding)氏が退任し、米マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントのダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏が社長に就任する7月1日付の人事を発表した。ヒューストン氏は現在、米マイクロソフトで北米地域の中小企業担当。日本でも成長が見込まれる中小企業などエンタープライズ事業の拡大を目指す。

7月1日付でマイクロソフト日本法人の代表執行役 社長に就任するダレン・ヒューストン氏

 同日会見したヒューストン氏は、「ローディング氏の基本方針を変えずに継続する」と述べ、ローディング路線の継承を明言。「ローディング氏と日本のリーダーシップチームが築いてきた基盤のうえにビジネスを展開する」とした。ローディング氏も「継続性と事業に対するプライオリティを守ってさまざまなチャンスに投資をしてもらいたい」とエールを送った。

 ヒューストン氏は、カナダ出身の39歳。カナダ政府やマッキンゼー&カンパニー、スターバックスを経て2003年9月にマイクロソフトに入社した。ローディング氏は、ヒューストン氏について「事業統括の実績があり、彼の経験は日本市場が直面しているチャンスや課題に役立つ」と述べた。マイクロソフト本社と日本法人は、後任社長として日本人も含めて検討したが、実績や本社とのコミュニケーションなどを考えてヒューストン氏を選んだようだ。

 ローディング路線の継承を宣言したヒューストン氏だが、マイクロソフトが直面する課題は少なくない。1つはセキュリティ問題。さまざまなワームに狙い撃ちされたことでマイクロソフト製品に関するセキュリティの信頼性は低下したまま。日本政府内にはアンチ・マイクロソフトの風潮が強くある。ヒューストン氏もセキュリティ対策の重要性は十分に認識していて、「私たちは現状に満足していない。現状よりもさらに発展させていきたい」と話した。また、「就任後6カ月にわたり、顧客や政府関係者と交流したい」としていて、積極的なコミュニケーションでマイクロソフトの姿勢を訴えていく考えだ。

 マイクロソフトが直面するもう1つの課題はオープンソースソフトウェア(OSS)への対応。ローディング社長時代にはWindows OSとLinuxのTCOを比較するキャンペーンを展開。OSSへ傾いている企業や官公庁の顧客を奪還するために、さまざまな取り組みを行った。ヒューストン氏は、「日本は知的財産をかなり重視する市場だ」と指摘したうえで「(OSSとWindows OSとの比較では)システムの初期コストだけでなく、TCOを見ることが重要だ」と述べた。

社長を退任するマイケル・ローディング氏(左)とダレン・ヒューストン氏

 ローディング社長が積極的に進めて、実績を挙げてきたのはWindows OSのミッションクリティカル分野への進出だ。ローディング氏が会見で挙げたように、百五銀行など銀行の基幹系システムにWindowsプラットフォームを選択する顧客が登場。ビジネス・アプリケーションベンダとのパートナーシップも拡大し、ミッションクリティカル分野へのWindows OSの進出で実績を残した。ヒューストン氏に求められるのは中小企業市場に関する北米での経験を基に、日本でのエンタープライズ市場への進出を加速させることだろう。ヒューストン氏は日本法人について、「世界第2位の規模の子会社というだけでなく、たくさんの研究開発でグローバルの製品開発に影響を与えるなど“独特の子会社”」と語ったうえで、「日本にはまだまだチャンスがある」と述べ、日本での成長に期待をみせた。

 退任するローディング氏は2003年7月に日本法人社長に就任。社長就任以前のアジアパシフィック地域担当コーポレートバイスプレジデント時代から合わせて4年半にわたり日本にいたことになる。7月以降はマイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントMSNグローバルセールス&マーケティング担当として、MSN事業を担当することになる。ローディング氏は退任について「日本での成果を誇りに思う」と、目を潤ませながら語った。

(@IT 垣内郁栄)

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