「顧客の50%以上がオンデマンドに」、オラクル幹部が見通し

2005/4/29

 米オラクルで顧客システムの運用管理や業務アプリケーションのホスティングを行う「オラクル・オンデマンド」事業の担当エグゼクティブ・バイスプレジデント ユーゲン・ロトラー(Juergen Rottler)氏は4月27日、「5年後にはオラクルの全顧客の50%以上がオンデマンド環境になっている」と述べ、オンデマンド事業に対して強気の見通しを示した。「ソフトウェアビジネスの未来はオンデマンドにある」とも述べ、「オラクルはオンデマンドでもリーダーになる」とした。

米オラクルのオラクル・サポート 兼 オラクル・オン・デマンド担当エグゼクティブ・バイスプレジデント ユーゲン・ロトラー氏

 オラクル・オンデマンドはデータベースやアプリケーションサーバなどOracle製品の運用管理や、業務アプリケーションの「Oracle E-Business Suite」、グループウェアソフトウェアの「Oracle Collaboration Suite」のホスティングをオラクルが行うサービス。ソフトウェアのライセンスは通常通り必要だが、ハードウェアの初期導入コストを減らすことができる。また、オラクルのエンジニアが運用管理を行うため高品質なサービスが期待できる。

 ロトラー氏によると、米国ではOracle製品の運用管理や業務アプリケーションのホスティングを全面的にオラクルに任せるケースが増えてきているという。「米国ではエンド・ツー・エンドのコンプリートサービスを全オラクル製品に対して提供している」とロトラー氏は説明し、「北米ではオラクルの顧客の65〜70%がオラクル・オン・デマンドを利用している。南米は50〜55%、欧州は35〜40%だ。これらの顧客はすべてオースティンにあるオラクルのデータセンターで運用管理をし、ホスティングをしている」と述べた。オラクル・オン・デマンドの顧客は400社強。ユーザー数は12万5000以上で、売り上げは年率50%で伸びているという。

 国内でのオンデマンド事業は2004年9月に開始した。米国などと異なり、パートナーのデータセンターでOracle E-Business Suiteをホスティングし、日本オラクルが運用管理に協力する体制を採っている。日本オラクルは新日鉄ソリューションズ(NSSOL)と協業し、「Oracle On Demand@NSSOL」の名称で展開。NSSOLのデータセンターでOracle E-Business Suiteをホスティングし、NSSOLと日本オラクルが運用管理を行っている。

 ロトラー氏はオースティンのデータセンターでホスティングして運用管理を提供する自社のオンデマンド事業について、「積極的にシステムに入り込めることで、コストや標準化、継続的なシステムの向上などを図れる」と説明。一方で、日本で提供しているパートナーのデータセンターでホスティングする“@partner”や、顧客のデータセンターで稼働するシステムをリモートで運用管理する“@customer”のビジネスモデルについては「ほかの関係者が入るので協調体制を築く必要がある」とした。

 オラクルは、システムインテグレータ(SIer)との関係が深い日本の顧客の状況を考え、@partnerを今後も積極的に進める。SIerが提供するソリューションの一部にオラクル・オンデマンドを組み込み、トータルでサービスを提供できるようメニューやサービスを整える。ロトラー氏は「日本の企業の好みを考えると@partnerのビジネスモデルを変える必要はない。むしろ@partnerの規模を広げたい」と述べた。2004年9月に事業を開始した国内では、2005年に100%の成長を見込んでいる。

(@IT 垣内郁栄)

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