中小企業のストレージ容量は8年前の大企業と同じ?

2005/5/20

 EMCジャパンは5月19日、中堅・中小企業にシンプルなストレージソリュ―ションを販売する戦略「Making Storage Simple」を発表した。また、新戦略に合わせて小規模化した4ノード構成のストレージ「Centera」を発表した。EMCでは、従来の大企業中心の営業活動から中小企業もターゲットに入れた販売を、パートナー企業と共同で強化していく。

EMCジャパン マーケティング本部長 西澤伸樹氏
 Making Storage Simpleは、中堅・中小企業に焦点を合わせた新しい販売戦略。新戦略では、中堅企業は大企業と比較してSIerなどへの依存度が高いことから、パートナー企業との協力関係を一層深めて対応していく。EMCジャパン マーケティング本部長 西澤伸樹氏は中堅企業の現状を「現在の中堅企業のストレージ容量は、大企業の1997年当時と同じ5〜30Tbyte規模まで拡張してきている。つまり、1997年時点の大企業とほぼ同じ悩みを抱えている。アンケート結果からも『バックアップを効率化したい』や『データ共有を強化したい』など、大企業と同じ悩みを抱えていることが分かる」と説明した。

 一方で、中堅企業ではやはり大企業ほど予算を取れない事情などから、「導入しやすい価格帯での構成」が重要になる。そこで、EMCではユーザーニーズを細かく分析し、用途に合わせてうまく製品やソリューションを組み合わせてサービスを提供していくという。このようなユーザーニーズを細かく拾い上げる営業活動は「直販では拾い切れないため、パートナーとの協業が重要となる」(西澤氏)ことからも、新戦略の下ではパートナーとの協業を一層強めていく方針だ。

EMCジャパン マーケティング部 雨堤政昭氏
 また、現在主流となっている「本番→バックアップ→アーカイブ」という手法では、本番環境やバックアップ環境、アーカイブ環境が肥大化する傾向にあるという。このため、同社では「アーカイブ=FIXしたデータ」と定義。本番環境から“固定したデータ”を直接アーカイブしたのち、それ以外のデータをバックアップする手法を推奨する。この手法では、“固定したデータ”をバックアップする必要がないため、バックアップを迅速に行える上にリカバリの迅速化も実現できる。EMCジャパン マーケティング部 雨堤政昭氏は「予算の少ない中堅企業では、特にこの手法が有効だ」と自信を見せた。

 新たに発表されたCenteraは、従来最低でも8ノード+ラックでしか構成できなかったアーカイブソリューションを、中小企業向けにスリム化して4ノードから提供するというもの。機能は従来のCenteraとまったく同じだという。Centeraは、コンプライアンスに求められている要件を満たすために、「WORM(Write Once Read Many)」や「自己修復、自己構築」機能を搭載。容量は4ノードで2.2Tbyteを実現している。価格は800万円から。

 西澤氏は、「4月に施行された個人情報保護法などのコンプライアンスは、大企業だけでなく中堅・中小企業にも同様に求められる。これらの理由から今後、中堅企業ではさらにアーカイブやストレージの需要は増していくだろう」と説明し、新戦略の効果に自信を見せた。

(@IT 大津心)

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EMCジャパン報道発表資料

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