IBMの開発・製造ノウハウ、デジタル家電にトランスファー

2005/6/1

 日本IBMは5月31日、同社の開発製造部門が蓄積してきたノウハウを外部企業に提供するサービスを開始する。テレビや携帯電話、カーナビゲーションなどデジタル家電における組み込みソフトウェア/ハードウェアを開発する製造業をターゲットとする。東京基礎研究所をはじめとしたさまざまな部門から、約100人のスタッフを集め、デジタル家電向けソリューション専任部隊として編成する。同部隊は大和事業所内に設置する。

日本IBM 取締役専務執行役員 開発製造担当 内永ゆか子氏

 デジタル家電向け組み込みソフトウェアの規模は年々巨大になっている。いまでは1000万ラインを超えるコード量のソフトウェアも少なくない。1000万超のコード量は、例えば、IBMが開発したOS「OS/2」のコード量にも匹敵する。コードの規模は年率10%以上の比率で増え続けるとIBMでは予測している。

 このような状況で問題となるのは、技術的にみれば、ソフトウェアの品質や保守性、拡張性であり、ビジネス的な観点でみれば、研究開発コストの回収率の向上である。研究開発費の回収率で最も優秀なレベルにある企業においては、投資額1ドル当たり6ドルの利益をたたき出すものだが、逆に1ドル当たり20〜30セントという赤字の利益回収率である企業も少なくない。

 今回、日本IBMが提供するのは、ワールドワイドで展開してきた製品企画や開発プロセス、マネジメント・システムのノウハウである。開発プロセスの変革支援(IPD)をはじめとした研究開発コンサルティング・サービス、開発手法やツールの提供、アーキテクチャ設計・実装支援といったエンジニアリング・サービス、共通プラットフォームの構築や組み込み技術の提供など、包括的な開発支援メニューをそろえている。

 日本IBM 取締役専務執行役員 開発製造担当 内永ゆか子氏によると、日本IBMの開発製造部門(APTO=Asia Pacific Technical Operations)約2500人のおよそ半分のリソースを今回のような顧客サービスに割くことになる。従来、利益を生み出す機能がなかった製造開発部門をプロフィット部門に変貌させるこの計画は、内永氏が開発製造部門担当の専務執行役員に就任した1年前に明らかにされていた。この試みは、家電製造業が多い日本市場で開始し、徐々に世界展開する予定だ。

(@IT 谷古宇浩司)

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日本IBMの発表資料

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