Java、10歳の誕生パーティを盛大に祝う

2005/6/29

 マクネリが、ゴスリングが、「ハッピーバースデイ・トゥー・ユー」とJavaOneのステージでJavaの10歳の誕生日を祝った。米国サンフランシスコで行われたJava開発者のためのイベント「JavaOne」は今年で10回目。オープニングとなるゼネラルセッションの途中で会場に音楽隊の演奏が鳴り響き、巨大なケーキがステージ上に用意されると、「開発当時のメンバーにできるだけ声を掛け」てステージに集められたスタッフと、マスコットのDukeが、演奏に合わせて歌い、Javaの10周年を祝った。

ステージ上でJavaの10歳を祝うスタッフ達。一番右で両手を広げているのがJavaの生みの親ともいえるジェームズ・ゴスリング氏

 その10年目のJavaOneで強調されたのは「パーティシペイション」(参加)だ。サン・マイクロシステムズ社長兼CEOのジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏はゼネラルセッションの冒頭で、「インフォメーション・エイジ(情報の時代)は終わり、パーティシペイション・エイジ(参加の時代)が始まった」と次の10年を名付けた。誰もがネットでつながる時代には、情報の送り手と受け手や、メディアとサービスの境界線はぼやけていく。シュワルツ氏はその例として、ブログやGoogle、eBayなどを挙げ、誰もがメディアのように情報発信に参加し、また誰もがサービスを構成する部分として参加していることを示した。

 サンはこの「参加の時代」に合わせ、オープンソースやコミュニティを支援することを強調。Solarisのオープンソース化や、今後のJavaのすべてのAPIがJava Community Process(JCP)を通じて開発されることなどを通じ、コミュニティと一緒にテクノロジを進化させていく。また、今回はJavaOneの歴史上初めてマイクロソフトが参加し、8つの相互運用性についてのセッションを行う。これも「参加の時代」を示すトピックだ。

「オープンスタンダードがコミュニティを作る」と社長兼COOのジョナサン・シュワルツ氏は語る
 Javaの呼称も次世代リリースから変わる。これまでの「J2EE」「J2SE」などから「2」が抜けるのだ。「J2SE」は「Java SE」となり、「J2EE」は「Java EE」となる。

 J2SEの次バージョン「Java SE 6.0」(コード名:Mustang)は2006年に登場予定だ。互換性、安定性を高めつつ、診断性、管理性を高めることで運用を効率的に行い、緻密なチューニングも可能にする。さらに、XML Webサービスのサポートや次期Windows(開発コード名:Longhorn)の新しいユーザーインターフェイスにも対応する予定だという。

 J2EEの新バージョン「Java EE 5」は、POJO(Plain Old Java Object)ベースのプログラミングとなり、複雑なEJBプログラミングから解放されて開発しやすくなることが大きな特徴だ。2005年の第4四半期にSDKのベータ版が、2006年第1四半期にファイナルが予定されている。

 SOAへの対応も重要な課題だ。現在はJavaプラットフォーム上にWebサービスを統合するためのESB(Enterprise Service Bus)はベンダごとに作られている。これらは設定ツールも、運用も、拡張法も違うことが指摘されている。Java Business Integrator(JBI)と呼ばれる仕様を策定し利用することで、ESBの仕様を統合し、コンポジット・アプリケーションの開発・運用の互換性を高めたいというのがサンの意向だ。

 明日のセッションには会長のスコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏が登場する。「参加の時代」に対応するとなれば、マイクロソフトへの攻撃もIBMへの非難もないゼネラルセッションが予想されるが、詳細はまた明日のレポートとしたい。

(@IT 新野淳一)

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