デジタル家電のNAT越えを可能にする新プラットフォーム

2005/7/6

 フラクタリストは7月5日、通信事業者やシステムインテグレータなどを対象にユビキタスプラットフォーム「NomadicNode」の販売を開始すると発表した。NomadicNodeは、ファイアウォールやルータの内側にありグローバルIPアドレスを持たないネット家電やDVDレコーダに対して、インターネットを介した接続を可能にするプラットフォームだ。

フラクタリスト 代表取締役社長 田中祐介氏
 NomadicNodeは、クライアント側に設置する「NomadicNode Module」とNomadicNode Moduleを管理する「NomadicNode Server」で構成される。NomadicNode Moduleをルータとネット家電との間に設置することで、グローバルIPアドレスを持たない端末でもインターネットを介してさまざまな操作が可能となる。

 フラクタリストはモバイル携帯端末やAV機器などにさまざまなソリューションを提供している会社。従来より提供しているモバイル事業の拡充とともに、NomadicNodeのソリューションを次なる中核事業として展開していくという。フラクタリスト 代表取締役社長 田中祐介氏は、「NomadicNodeの最大の特徴は『IPベースであれば、必ず使える』点だ。従ってほぼすべての家庭で利用可能だ。従来は、ルータの内側はNAT越えの問題などで、インターネット経由での操作が難しかった。NomadicNodeによって、ネット家電やDVDレコーダーなどに新しい機能を追加することができるだろう」と説明した。

 NomadicNode Moduleの第1弾には、32bit-RISC MPUをコアにしたボードコンピュータをベースに、Linux上で諸機能を搭載しているボックスタイプが開発された。同社では、今秋以降に32bit-RISC MPUのボードにアセロス・コミュニケーションズのWi-Fiチップセットを搭載した無線バージョンを開発するほか、モジュール化/ソフトウェア化することも検討しているという。NomadicNode Serverは、NomadicNode Module同士の接続管理を行うほか、NATやファイアウォール越えをするための通信制御や端末のステーブル管理、接続認証などを担当する。

NomadicNode Moduleの試作品
 田中氏はNomadicNodeの応用例として、「ネットワークカメラのリモート監視システム」や「デジタル家電などのリモートアクセスシステム」「リモートデスクトップシステム」などを挙げた。また、組み込み機器向けに「テレビ電話開発キット」や「『T-Engine』ベースでのユビキタスデバイス開発キット」などを開発キットとして提供する予定だとしている。

 田中氏は、「この分野の市場は2004年は1.4兆円規模だが、2010年には5.3兆円まで拡大する。当分は手探りでの開発になるが、マーケットの土台を作っていきたい。現在はアダプター型だが、将来的にはモジュールをハードウェアベンダに提供する形になる可能性もある。来期には数億円規模のビジネスに拡大したい」と抱負を語った。

(@IT 大津心)

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フラクタリスト発表資料(PDF)

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