“若貴問題”と比較されるSSAグローバル、IBMの密着度

2005/7/7

 日本SSAグローバルは製造業向けERPの新バージョン「SSA ERP LX 8.3」を7月6日に出荷した。SSA BPCSを改名した製品で、プラットフォームのサポートを従来のWindows、AIX、OS/400からIBM iSeries(旧AS/400)のi5/OSに絞り込んだ。前バージョンの8.2からアプリケーション機能の大きな追加はなく、SSAグローバルでは「当社の顧客の80%以上がiSeriesを使っている。i5/OS以外の顧客は並売する8.2を使ってほしい」としている。

日本SSAグローバル 代表取締役社長 細井洋一氏

 SSAはプラットフォームのサポートを限定し、IBMとの結びつきを強める。SSAは同日、IBMと共同でIBMサーバ上でSSAのアプリケーションを検証できる施設「IBM-SSAコンピテンシーセンター」を東京・西新宿のSSA本社内に設置したと発表した。SSAの代表取締役社長 細井洋一氏は「センターの設立は市場に対するコミットメントの1つの表れ。若貴問題よりも早く解決した」と述べ、IBMとの結びつきの強さをアピールした。

 8.3では新たにRPG言語をサポート。クライアントがInternet Explorerを使っているか、AS/400、iSeriesエミュレータを使っているかをRGP言語で判断し、条件分岐する。IEの場合はWebブラウザで表示できるようERPの処理結果をXMLで出力。AS/400、iSeriesエミュレータがクライアントの場合はエミュレータのグリーンスクリーンに表示するためにDSPファイルで主力する。8.2ではWebブラウザ、グリーンスクリーンのほかにクライアントサーバも採用していたが、クライアントサーバの機能をWebブラウザに統合したことで開発コストの低減につながるという。

 また、ビジネスプロセスマネジメント機能の「SSAワークフロー」も追加された。ビジネスプロセスのモデリングとイベントの通知機能があり、他システムとの連携が容易になるという。品目登録処理や顧客オーダー処理などビジネスプロセスをあらかじめ定義したワークフローのテンプレートサンプルも用意する。また、旧バーンのEAIツールを統合し、「SSAテクノロジーアーキテクチャー」として実装。XMLやSOAP、JDBC、ODBC、Java API、.NET APIなどのアダプタを用意し、「他製品とのコネクティビティが向上した」(細井氏)。価格は前バージョンと同じで1ユーザー80万円から。

 SSAは買収した旧バーンのERP「SSA ERP LN」も持つ。サン・マイクロシステムズ出身で2005年2月にSSAに入社した執行役員 アライアンス担当&マーケティング担当 山本恭典氏は、ERP LXとERP LNの住み分けについて、「ERP LXは電気機器、自動車、一般消費財などのプロセス生産、ERP LNは航空防衛、プロジェクト産業などの個別受注生産に向いている」と説明した。

(@IT 垣内郁栄)

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日本SSAグローバルの発表資料

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