サイボウズは世界で戦えるか? ラボ設立でリベンジ図る

2005/7/26

 サイボウズは7月25日、研究開発を専門で行う100%子会社「サイボウズ・ラボ」を8月初めに設立すると発表した。情報共有ソフトの研究を主に行い、開発成果はフリーソフトウェア、またはオープンソースソフトウェアとして世界市場に提供するとしている。サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏は「ラボは短期的にもうからなくてもよい。世界を驚かせるものを作ってほしい」と大きな期待を寄せている。

サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏

 ラボはサイボウズの主力のグループウェアを強化すると同時に新事業を作り出すソフトウェアを開発する。「サイボウズはマーケティングの会社というイメージが強いが、技術にも強い会社ということをブランディングするためにラボは別会社にした」と青野氏が述べたように、先進性をイメージさせる意図もある。

 オフィスはサイボウズ本社とは別の東京・赤坂に設立。サイボウズ共同設立者で、最高技術責任者の畑慎也氏が代表取締役社長に就任する。資本金は1000万円。立ち上げ時は3〜4人で始め、2〜3年後には20人、5年後には50人の陣容にする計画。本社とは別に技術者の採用を進める考えで、「洋物のローカライズばかりしている優秀なソフトウェア技術者を集める」(青野氏)。

 畑氏は研究開発の方向を「ブログ、Wikiなども見つつ、次の世代にはどういう形のアプリケーションになるかということをテーマにする」と説明したうえで、「WebアプリケーションやWebサービス、RSS/Atomフィード、セマンテックWebなどを情報共有ソフトウェアに入れていくとどういう製品になるかを考えていく」と述べた。2006年2月〜4月には第一弾ソフトウェアのアルファ版、ベータ版をリリースする予定。

サイボウズ・ラボの代表取締役社長に就任する畑慎也氏

 開発の成果は一定の制限の下で、フリーソフトウェア、またはオープンソースソフトウェア(FLOSS:Free/Libre&Open Source Software)で公開し、世界で幅広く使ってもらうことを計画している。“一定の制限”とはソフトウェアによってさまざまだが、個人は無償、商用は有償のデュアルライセンスなどを想定している。ソフトウェア自体のライセンスは無償にして、そのパッケージングやサポート、アップデートサービスなどで収益を得るビジネスモデルも考えている。

 ラボの設立は、サイボウズの米国市場、世界市場へのリベンジともいえる。サイボウズは7月末に米国現地法人の「Cybozu Corporation」を清算し、米国から撤退する。一方で1月に発売した10カ国語対応のグループウェア「サイボウズ Share360」のダウンロード販売は、世界市場で好調。青野氏によるとShare360は中国やタイ、ドイツ、イタリア、スペインでの販売が増え、「現地法人がなくても売れることを確認した」。よいソフトウェアを開発すれば、たとえ現地法人がなくてもユーザーの支持を集められる。青野氏はそう判断し、ラボの設立を決断した。青野氏は「ラボのミッションは世界向けのソフトウェアを出すこと」と述べ、ラボを世界市場への橋頭保にする考えを強調した。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
サイボウズの発表資料
サイボウズ・ラボ

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