アップル、鉛筆より薄い「iPod nano」

2005/9/9

iPod nano

 アップルコンピュータは9月8日、iPodの新モデル「iPod nano」を発表した。8月4日の日本版「iTunes Music Store」発表時に来日した同社CEO スティーブ・ジョブズ氏は今回は来日しなかったが、ビデオ映像を通して「かなり大胆な発表がある」とし、ジーンズの右ポケットのさらに小さなポケットから、人差し指と親指でiPod nanoをつまみ出した。その薄さは鉛筆以下の7ミリで、縦9センチ、横4センチ、名刺よりも小さい。

 iPod nanoは4GBと2GBの2モデルが用意される。色は白と黒のみ。4GBモデルでおよそ1000曲を記録できる。ハードディスクドライブを内蔵せず、iPod Shuffleと同様フラッシュメモリでデータを保存する。カラースクリーンを備え、画像データを表示させることもできる。バッテリーの持続時間は最大14時間。オリジナルiPodと比べて「80%もサイズが小さくなった。iPod miniと比較しても62%サイズが小さくなった」(ジョブズ氏)。重さは1.5オンス=42グラムだ。

 アップルはモトローラ製携帯電話「ROKR」も発表した。GSM/GPRS端末で、内蔵したiTunesに直接アクセスできるボタンを備えている。楽曲データはWindows PCまたはMacから転送し、端末から直接楽曲データをダウンロードすることはできない。北米における独占キャリアパートナーは米Cingular Wireless。249ドルで店頭販売する。北米ではテレビCMも製作されている。ビデオで放映されたのは2バージョン。どこかの国の辺境に設置された公衆電話にマドンナをはじめとしたミュージシャンたちがぎゅうぎゅう詰めになるバージョンとオリジナルiPodで確立した、影が踊るイメージのバージョンだ。後者にはスペイン語版も用意された。

 iTunesの新バージョンである「iTunes5」も本日からダウンロード可能となる。大幅な機能拡張というわけではない。iTunes Music Storeの本格展開やポッドキャストの「ロケットのような好調な出だし」(ジョブズ氏)といったさまざまなサービス拡充に対応するための使い勝手の向上を目指したとみられる。好きな楽曲を選択して構成するプレイリストをフォルダを利用した階層構造にしたほか、音楽やオーディオブック、ポッドキャスト、ビデオなどさまざまなジャンルごとに検索が行えるようSearchBarを設置したり、シャッフルのレベルを調節できるようにしたり、子どもがiTunes Music Storeで勝手に買い物ができないようにするペアレンタル・コントロール機能を追加した。amazon.comと同様、iTunes Music Storeではアルバムのレビューを掲載するスペースも設置した。

 ジョブズ氏によると、iTunes Music Storeで購入できる楽曲は約200万曲で、アカウント数(登録者数)は1000万人を突破したという。1日平均180万曲がダウンロードされ、米国での(インターネット音楽配信ビジネスの)シェアは82%、英国では80%、全世界(20カ国)では85%という驚異の実績を誇る。なお同社は、アキュラ(北米ホンダ)、ホンダ、アウディ、フォルクスワーゲンなどと共同でiPodと接続できるカーステレオの投入を計画している。アップルが協業する自動車メーカー群の米国での合計シェアは「30%」(ジョブズ氏)。米ロイターは(アップルが自動車市場に参入することで)衛星ラジオ搭載車の市場に影響が出るとの報道を行っている。

(@IT 谷古宇浩司)

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