セールスフォース追撃宣言、オラクル+シーベル連合軍

2005/9/21


  米オラクルの社長 チャールズ・フィリップス(Charles Phillips)氏は9月19日(米国時間)、9月12日に買収を発表した米シーベル・システムズについて、「Oracle Fusion Middlewareを進めるいま、シーベルのコンテンツや専門知識が必要だ。次世代のアプリケーションを開発していくため、買収のタイミングはパーフェクトだ」と述べた。オラクルはシーベルのCRMアプリケーションを自社製品に取り込み、ピープルソフト製品なども組み合わせて「スーパーセットのプロダクトを開発する」(フィリップス氏)としている。

米オラクルの社長 チャールズ・フィリップ氏(左)とシーベルのCEO ジョージ・シャヒーン氏

 フィリップス氏はシーベル製品の統合について「(ピープルソフトの)人事管理製品と同じことがCRMでできる」と述べ、ピープルソフト製品とオラクル製品の統合計画「Project Fusion」にシーベル製品を含める考えを示した。また、シーベルのCEO ジョージ・シャヒーン(George Shaheen)氏は「シーベルのCRMがFusion戦略の中心になる」と述べた。

 オラクルはシーベルが展開しているホスティングサービス「CRM OnDemand」に注目している。CRM OnDemandはシーベルのデータセンターでCRMアプリケーションを運用するサービスで、顧客は初期投資コストや運用管理コストを低く抑えることができる。ホスティングサービスはオラクルも「Oracle on Demand」の名称で展開。米オラクルのオラクル・サポート 兼 オラクル・オン・デマンド担当エグゼクティブ・バイスプレジデント ユーゲン・ロトラー氏は、Oracle on Demandについて「オラクル製品のすべてをカバーするほど広範囲」としたうえで、「シーベルのCRM OnDemandも盛り込んでいく」と述べ、両社のオンデマンドサービスを組み合わせる考えを示した。

 オラクルがCRM OnDemandに期待するのは、急成長する米セールスフォース・ドットコムへの対抗だ。シーベルのシニア・バイスプレジデント ブルース・クリブランド(Bruce Cleveland)氏はCRM OnDemandが2005年6月までで4万人弱のユーザーを集めたことを説明し、「セールスフォース・ドットコムと競争できるようになってきた」と述べた。クリブランド氏はまた、「セールスフォース・ドットコムはシーベルがターゲットにしていない小規模企業の市場で成功しただけ」としたうえで、「(オラクルとの統合で)今後はできるだけカバーを広げていきたい。オラクルの強力なディストリビューションも利用できる」と述べて、セールスフォース・ドットコム追撃を宣言した。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料(シーベル買収)

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