Web 2.0時代のYahoo!とは、検索リニューアルで端緒つかむ

2005/10/4

 ヤフーは10月3日、検索サービス「Yahoo!検索」をリニューアルし、独自の検索エンジン「Yahoo! Search Technology」(YST)によるロボット検索の結果をページトップに表示するよう変更したと発表した。これまではカテゴリに分類したWebサイトを優先的に表示していた。

 会見したヤフーのリスティング事業部 検索企画室 室長 井上俊一氏は「ユーザーのニーズが多様化してきた」と変更の理由を説明した。井上氏は同時に米ヤフーがベータ提供しているソーシャル検索サービス「My Web 2.0」を日本でも将来的に提供することを明らかにした。

ヤフーのリスティング事業部 検索企画室 室長 井上俊一氏

 Yahoo! JAPANは2005年5月にYSTを全面導入。今年6月には検索に特化した「Yahoo! SEARCH BETA」を開始した。今回のリニューアルで検索結果が完全にYSTのロボット検索ベースになる。新しくなった検索結果画面は、使用したキーワードと組み合わせて利用されることが多いキーワードを表示する「関連検索ワード」を最上位に、キーワードと一致したカテゴリ、Yahoo!のサービス、スポンサーサイト、YSTの検索結果の順に表示する。

 YSTをベースにすることで、Yahoo! JAPANの検索プラットフォームが世界のYahoo!と共通化し、「各国の良い点やアプリケーションをスピーディに導入可能になる」(井上氏)ことを狙う。また、Yahoo! JAPAN IDを使って検索の設定をユーザーごとに保存できるようにした。対応言語も37言語に強化した。

 ヤフーが検索に力を入れるのはGoogle対抗だけではない。検索ビジネスの収益率が高いからだ。井上氏によると、ヤフーの2005年4−6月期に占めるリスティング事業の売り上げは、ヤフー全体のうち26%で、他事業と比較して最大。さらに営業利益では全体の41.9%を稼ぎ出している。営業利益全体に占めるリスティング事業の構成比率は年々増加。検索は「利益率の高いビジネス」(井上氏)なのだ。

 ヤフーが考える検索サービスの今後のキーワードは「Web 2.0」。井上氏は米ヤフーがベータ提供しているMy Web 2.0の国内での提供について「米国のフィードバックを得ながら企画している段階」と説明した。My Web 2.0は自分が利用した検索結果を保存し、複数の検索結果を「タグ」でまとめることができる。ユーザーはお互いのタグの内容を参考し合ったり、検索し、目的の情報にアクセスする。「あえてキーワードを検索しなくてもタグをブラウズすることで有益な情報にアクセスできる」(井上氏)

 井上氏はMy Web 2.0のソーシャル検索の前段階として、自分の検索履歴や情報へのアクセス方法を記録するパーソナル検索が重要と指摘した。ソーシャル検索、パーソナル検索もユーザー固有のIDを使うことが条件。井上氏はヤフー全体のサービスのうち、8割程度がログオンして利用できるサービスであることを説明し、「ヤフーには日本最大規模のパーソナル&ソーシャルサーチの可能性がある」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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ヤフーの発表資料

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