MS、アドビにできないドキュメント保護、米Authentica

2005/10/5

 アイディ ネットワークスは10月4日、米Authenticaが開発したデジタル・ライツ・マネジメント(DRM)製品「Authentica SecureMail 4.0」「Authentica SecureDocuments for PDF 4.0」を出荷すると発表した。電子メールやドキュメントの閲覧や印刷の許可を配布後にコントロールできるソフトウェアで、米国では国務省、CIAも採用しているという。

Authenticaのディレクター ジム・ヒッキー氏

 Authentica製品は電子メールやドキュメントを暗号化し、作成者が許可しない閲覧や転送、印刷を防止する。特徴は電子メールやドキュメントを社外に配布してしまった後も、利用に制限をかけられる点。配布後に閲覧可能日数を変更するなど制限の内容を変更することもできる。

 配布した電子メールやドキュメントの制限を変更できるのは、ドキュメントを開く際にネットワーク上のポリシーサーバにアクセスして、そのドキュメントの制限を確認するからだ。ポリシーサーバに接続した際に制限が変更されていれば、すぐにドキュメントに反映される。ドキュメント自身は暗号化されていて、閲覧する場合でも復号化した別ファイルは作成しない仕組み。そのためドキュメントの利用を完全に制御できるという。

 Authenticaのディレクター ジム・ヒッキー(Jim Hickey)氏によると、Authenticaの顧客企業は200社以上。製造や政府・官公庁が多く、医療、金融が続くという。製造や政府・官公庁はドキュメントの保護、医療、金融は顧客の個人情報を保護するため電子メール対応製品を導入するケースが多い。Authenticaは送信した電子メールを保護するSecureMail 4.0、PDF文書の閲覧などをコントロールするSecureDocuments for PDFのほかに、Microsoft Word、Excel、PowerPoint対応の「Authentica SecureDocuments for Office 2.0」がある。Authentica製品は、共通プラットフォームの「Active Right Management」上で動作し、1つのポリシーサーバで管理可能。そのため製品の追加が容易だという。また、APIを使ってコンテンツフィルタリング製品などと組み合わせることもできる。

 SecureMail 4.0が対応する電子メールクライアントはMicrosoft Outlook 2000/XP/2003で、プラグインとして動作する。Lotus Notes/Dominoにも対応する。電子メールの誤送信や許可のない印刷、コピーの防止、転送後の閲覧禁止などが実行できる。非対応の電子メールクライアントを使っている場合でも、Webメールの仕組みを活用して、内容を確認可能。新版の4.0ではインターネットに接続しない状態でも文書をセキュアに閲覧できるオフライン機能を強化した。

 SecureDocuments for PDF 4.0はAdobe Acrobat 6.0/7.0、Adobe Reader 6.0/7.0用のプラグインで、作成したPDF文書を保護する。ドキュメントを保護する技術は、マイクロソフトの「Windows Rights Management」やアドビシステムズの「Adobe LiveCycle Policy Server」がある。しかし、ヒッキー氏はマイクロソフト、アドビとも保護できるドキュメントが限られることを指摘し、「Authenticaは柔軟性のあるプラットフォームを目指したい」と述べた。

 SecureMail 4.0、SecureDocuments for PDF 4.0とも200ユーザーライセンスで450万円から。グローバルセキュリティエキスパート、丸紅ソリューションなどが代理店として販売する。

(@IT 垣内郁栄)

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アイディ ネットワークスの発表資料

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