次世代DVD規格を巡るソニーとインテルの思惑

2005/10/5

 次世代DVD規格「Blu-Ray」「HD DVD」の戦いは、幕張メッセで開催されているコンシューマ・エレクトロニクスをテーマにした総合展示会「CEATEC JAPAN 2005」の会場でもヒートアップしている。AV機器メーカーやPC関連メーカー各社は、今後のホーム・エンターテインメント・ビジネスの肝はHD(High Definition)技術にあるとし、最新技術や製品、サービスのアピールに全力を挙げている。

ソニー会長兼CEOのハワード・ストリンガー氏

 Blu-Ray陣営を率いるのは、技術の提唱者であるソニー、そして近年コンシューマ・エレクトロニクスの分野で大きく勢力を拡大しつつある松下電器産業(パナソニック)などだ。特に、1万人規模のリストラを発表し、現在事業の再構築中にあるソニーにとって、Blu-Rayの勝利は、HD時代の覇権と今後のビジネスを実行するうえで非常に重要な意味を持つ。そんなソニーの会長兼CEOに今年6月に就任したハワード・ストリンガー(Howard Stringer)氏が10月4日、CEATEC会場でソニーの事業計画に関する基調講演を行った。

 同氏によれば、ソニーは研究開発投資のターゲットを絞り、特定分野の事業に注力していく計画だという。その事業の核の1つがHD分野だ。HD-TV、DVR(Digital Video Recorder)、PlayStation 3、ビデオカメラなど、同社が得意とするAV関連の分野でHD技術を積極的に推進していく。特にHD映像が記録可能なビデオカメラのハンディカムは好評を得ており、来年初めにはBlu-Rayドライブを標準搭載してHDコンテンツの再生が可能なPlayStation 3が市場に登場する。またそれと同時に映画ソフトなどのBlu-Rayコンテンツを大量投入して、一気に市場を席巻するのが狙いだ。

 「ソニーは、ハリウッド(米国映画産業)の中でもトップの映画会社、日本最大規模のレコード会社とデジタル音楽配信サイト、そして世界で最も売れているゲーム機(PlayStation 2)を抱え、エンターテインメント、音楽、ゲームの3つのコンテンツ分野のリーダー的存在だ。この圧倒的なコンテンツと技術力で、ハードウェア、コンテンツ、サービスの3点からなる強力なプラットフォームを構築、これまでにない“ユーザー・エクスペリエンス”を提供していく」

 ストリンガー氏は、米映画会社大手のパラマウント・ピクチャーズがBlu-Ray支持を発表したことを取り上げ、コンテンツの提供力でライバルのHD DVD陣営を上回っていることを示唆した。

 インテルとマイクロソフトは、ライバルのHD DVD陣営を支持している。ことPC業界においては両社の影響力は絶大だ。この両社がHD DVD支持を表明したことで、先行きが不透明な状況となってきている。デルやヒューレット・パッカードなど、PCメーカー大手はすでにBlu-Ray支持を表明しており、インテルとマイクロソフトのHD DVD支持表明を「実効力のないもの」として非難している。実際、Blu-RayのほうがHD DVDよりも単一媒体での記憶容量が多く、AVやPCメーカー、さらにはコンテンツ事業者からの支持も多く取り付けている。問題とされていたBlu-Rayの製造コストも、技術革新でHD DVDに対抗できるだけの目途がついてきたといわれる。ではなぜ、インテル、マイクロソフトはHD DVD支持なのだろうか。

 CEATECのオープニング・キーノートのために来日した米インテルのデジタルホーム部門バイスプレジデントのドナルド・マクドナルド(Donald McDonald)氏はこの疑問にこう答えた。

 「インテルは、ユーザーにとっていちばん幸せなことは『複数の技術標準で製品選択を悩む必要のない状態』だと考えている。統一が望ましいが、もしそれがかなわぬものならば、ユーザーにとってよりフレンドリーな規格を支持するだけだ。ユーザーにより自由なコピー権限が与えられている点で、HD DVDのほうが望ましいと判断した。ユーザーが新技術に望むことはたった1つ、『ただ1つの業界標準』なのだ」

(鈴木淳也/Junya Suzuki)

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