SOA実現へオラクルがスイート攻勢、データ統合で差別化も

2005/10/26

 米オラクルのOracle Application Server担当CTO ビジェイ・テラ(Vijay Tella)氏は10月25日、日本オラクルが主催した「Oracle Fusion Middleware Day」で講演し、オラクルが進めるSOA構想について、「SOAは激しい競争などのビジネス上の課題と、柔軟性とスピードというテクノロジ上の課題を解決する」と述べた。競合のSAPについては「オラクルのSOAは情報の質からグリッドまで及んでいて、SAPと比較してより強いビジョンを持っている」と優位性を強調した。

米オラクルのOracle Application Server担当CTO ビジェイ・テラ氏

 オラクルはOralce Application Serverを中心に、SOAを実現するミドルウェア群「Oracle Fusion Middleware」の拡充を急いでいる。テラ氏によるとOracle Fusion Middlewareの開発を始めたのは2000年で、最初から複数の機能を実装したスイート製品を構想していたという。スイート製品としてSOAの実現と展開、運用に必要な機能を統合したことも、SAPなど他社のミドルウェア製品に対する差別化のポイントになるとしている。

 オラクルが考えるSOA構想「Oracle Fusion Architecture」やOracle Fusion Middlewareの根本になっているのは、「企業の既存投資を保護するため非オラクル環境との連携を進める」という考え。そのためOracle Fusion Middlewareは、エンタープライズ・サービス・バス(ESB)や「Oracle BPEL Process Manager」「Web Services Manager」などのプロセス統合、パフォーマンス管理などのツールを充実させている。

 日本オラクルが同日に販売開始した製品情報管理ソフトウェア「Oracle Product Information Management Data Hub」(PIM Data Hub)は、SOA構想においてデータ統合を実現する製品だ。オラクルが主張するSOAでは、プロセス統合と同時にデータ統合の展開がポイントになる。オラクルはすでに顧客情報の統合製品「Customer Data Hub」や会計情報の統合製品「Financial Consolidation Hub」などをリリースし、SOA実現に向けてのマスタ統合を進めている。

 PIM Data Hubは異なるシステムの製品情報を一元化し、単一の製品情報リポジトリを作成する。オラクルではPIM Data Hubを使うことで、迅速な商品開発や法規制への対応、部品・原材料調達の標準化によるコスト削減などが期待できるとしている。製造業や化学業界、消費財業界などへの導入を目指す。オラクルによると、カシオ計算機がPIM Data Hubの採用を決定したという。オラクルは市民情報を一元管理できる行政機関向けの「Citizen Data Hub」やローン、クレジット情報を統合する金融機関向けの「Financial Services Accounting Hub」などのリリースも予定している。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料(PIM Data Hub)
日本オラクルの発表資料(カシオ計算機の導入)

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