NECが米ユニシスとサーバ共通化、次期IAサーバを共同開発

2005/10/27

 NECは米ユニシスと協業し、メインフレームやUNIX、IAなど両社のハイエンドサーバのプラットフォームを共通化すると10月26日発表した。共通プラットフォームはIAベースで両社が共同で開発。NEC、ユニシスが2007年にそれぞれ投入するハイエンドサーバから適用する。

協業を発表したNECの取締役 執行役員専務 小林一彦氏

 NEC、ユニシスはIA-32プロセッサを16wayまで搭載するハイエンドサーバのチップセットを開発する。このチップセットを搭載したサーバを共通プラットフォームとして、NEC、ユニシスがミドルウェアなどを組み合わせて自社製品に仕上げていく。新製品は2007年に登場する予定。2008年にはIA-32/64互換のチップセットを開発し、32wayまでのサーバに対応させる。「NECとユニシスは1本のハイエンドサーバで両社のすべての製品をカバーする」(NEC 取締役 執行役員専務 小林一彦氏)。

 両社の協業は、「サーバ生産は全面的にNECが責任を持つ」(小林氏)としていて、NECによるユニシスへのサーバのOEM供給の色合いが強い。小林氏は「共通プラットフォームの開発は、NECのこれまでの予算でやる。NEC1社で行うはずだった予算で両社向けの開発を行う。(今回の協業で)さらなる開発費の増大はない」と説明し、NECが開発の主導権を握ることを強調した。アウトソーシング事業の失敗などで経営の苦境が伝えられるユニシスは、ハイエンドサーバの開発・製造からコア部分の開発を除いてほぼ撤退し、R&Dコストの削減に努める。

 だが、協業をNECとユニシスの資本提携にまで進めるかは、「まったくの未定、白紙」(小林氏)。また、米ユニシスが出資する日本ユニシスは「今回の提携にはタッチしていない」(小林氏)としていて、NEC、米ユニシスとも日本ユニシスとの関係は変らないとしている。

 ユニシスはメインフレームの「ClearPath」(OSとしてOS2000またはMCPを搭載)とIAサーバの「ES7000」を持つが、メインフレームの売り上げは「年率8%で徐々に減っている」(米ユニシス エグゼクティブ・バイス・プレジデント ピーター・ブラックモア[Peter Blackmore]氏)。ユニシスはメインフレーム顧客をES7000に移行させたいのが本音だが、ES7000の開発コストのねん出が難しくなっているようだ。NECからIAベースの共通プラットフォームの供給を受けて、メインフレーム顧客の受け皿とする。ブラックモア氏は「共通プラットフォームがメインフレームの今後のアーキテクチャで重要になると両社が認識した。プラットフォームの共同開発が最もコスト削減効果が高い」と説明した。

 NECもメインフレームのIAサーバへの移行を進めている。2004年12月にはメインフレームOS「ACOS-4」を稼働させられるItanium2搭載サーバ「i-PX9000」を出荷した。HP-UXが稼働する「NX7700i」もIAベース。IAサーバの「Express5800」を含めて、NECのハイエンドサーバはIAサーバへの移行がほぼ完了している。

 NECがユニシスとの協業で狙うのは、ユニシスに対してサーバを供給することによる出荷数の増大だ。NECは2007年から2010年にかけてユニシスに対して約2万2000台のサーバを供給する計画。自社向けの約1万5000台をあわせると4万台近くになる。出荷数が増えることで部材などの安価な調達が可能になり、コストダウンにつながるとにらむ。ハイエンドIAサーバの世界市場でNECのシェアは7%弱だが、プラットフォームの共通化でユニシスの約33%を加えると、NECは実質的に約40%のシェアを握ることになる。

 NECとユニシスは両社のミドルウェアの相互利用やセキュリティソリューション、テレコム向けソリューションの開発でも協力する。ユニシスが世界に展開する保守サービスの拠点をNECが利用できるようにもする。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
NECの発表資料
米ユニシス

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