エンジニアのニーズに応え、MCP初の大幅改定

2005/11/2

マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 マイクロソフトラーニンググループ 部長 森田益成氏

 マイクロソフトは11月1日、MCP(マイクロソフト認定資格)プログラムの資格体系を大幅に改定することを発表した。1993年に日本で開始されて以来、初の大きな改定となる。

 新資格体系は特定の職務に重点を置く傾向が強くなり、1つ1つの科目は細分化された。取得資格を組み合わせれば得意分野のスキルを証明できる。ITエンジニアは自分のスキルを過不足なく実証できるので、資格取得の費用と時間を軽減することができる。採用側、育成側にとっても評価がしやすいという。

 新資格体系は3階層4資格で構成される。3階層のうち、最も基本的な「テクノロジー シリーズ」では製品知識やオペレーション、「プロフェッショナル シリーズ」では技術を基にした設計・運用などの業務遂行能力を証明できる。最上位の「アーキテクト シリーズ」では製品技術だけでなく、企画立案やリーダーシップなども含め、ITでビジネス上の課題を解決する能力を証明できる。幅広いスキルセットと、目安として10年程度の経験が必要となる。

 4資格とはテクノロジー シリーズに属する「Microsoft Certified Technology Specialist」、プロフェッショナル シリーズに属する「Microsoft Certified IT Professional」(MCITP)「Microsoft Certified Professional Developer」(MCPD)、アーキテクト シリーズに属する「Microsoft Certified Architect」である。この4資格が複数の専門分野に分けられる。

 新体系に沿った資格として、まずは11月発表予定の「Microsoft SQL Server 2005」および「Microsoft Visual Studio 2005」対応の10専門分野が発表された。例えばSQL Serverの認定パスでは、3つの試験に合格することによって、プロフェッショナル シリーズのMicrosoft Certified IT Professional(MCITP)の1つであるMCITP Database Administratorとして認定される。

 今後も新製品の発売に応じて、各製品に対応した資格が追加される予定。

 マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 マイクロソフトラーニンググループ 部長 森田益成氏は、資格改定の背景について「技術の発達にともない、当時と現在では求められるスキルセットも異なっており、それに応える必要を感じた」と語る。

 森田氏によると、ユーザーの声として、ITエンジニアは「資格だけでは経験の証明にならない」「得られる効果の割に、時間と費用が掛かりすぎる」、育成側は「自社の業務と資格の体系が合っていない」「どの資格を取らせたらいいのか分からない」などがあったという。そのようなユーザーのニーズに応え、職務が細分化されてきている現状に対応するため、今回職務に重点を置き、過不足なく的確にスキルを実証できる認定パスを設定した。「シンプルに、分かりやすくしたい」ということも目的の1つだったという。

 新試験は米国で2006年1月初旬から、日本では2006年春から提供が開始される予定。

 現在のMCPプログラムの資格は引き続き有効だが、マイクロソフトは新資格へのアップグレードパスも用意する。1月初旬から、今回発表の10専門分野に対応する既存資格であるMicrosoft Certified Database Administrator(MCDBA)、Microsoft Certified Application Developer(MCAD)、Microsoft Certified Solution Developer(MCSD)の保有者、2006年初めまでの取得者を対象に、期間限定のアップグレード支援キャンペーンも展開する。キャンペーンの内容は、アップグレード試験の無料受験チケットの提供、抽選での無料トレーニングの提供など。

 マイクロソフトは以前より、トレーニングや試験の提供だけではなく、ITエンジニアの学習サイクル全体を支援するという考えを明らかにしている(関連記事:MCPの試験改定の背景は?)。ユーザーのニーズに応え、現状に対応したという今回のMPCプログラムの改定によって、受験者は「増えると思う」と森田氏は語る。

(@IT 長谷川玲奈)

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