[JavaOne Tokyo 2005開催]
Java EE 5、プログラミングの簡略化を目指して

2005/11/9

米サン・マイクロシステムズのJava SE 開発責任者 ジョン・パンプチ氏

 11月8日に開幕したJavaOne Tokyo 2005初日のテクニカル・キーノートは、Java SEとJava EEに関する最新の技術情報が発表された。両プラットフォームともに、2006年中には次期バージョンが登場する。6月に米国で行われたJavaOne 2005では、米サン・マイクロシステムズのプレジデント兼COO ジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏が(Javaの)これからの10年を「情報の時代から参加の時代」と宣言し、文字通りイベントの基調を示す講演を行ったが、JavaOne Tokyo 2005では、初日の基調講演から開発担当の責任者が最新の技術情報を提示するハードな幕開けとなった。

 米サン・マイクロシステムズのJava SE 開発責任者 ジョン・パンプチ(John Pampuch)氏は、2006年にリリース予定のJava SE 6(コードネーム:Mustang)について「実に多くの新機能を実装する計画だ」と述べた。Mustang開発のテーマは大きく分けると6つある。「互換性・安定性・品質の追及」「監視・モニタリング・管理の徹底」「XML&Webサービスの実装」「開発の容易性」「デスクトップ」「さらにオープンに」の6つだ。

 パンプチ氏は各テーマを実現するための具体的な技術を紹介していった。例えば、「監視・モニタリング・管理の徹底」というテーマでは、アプリケーションやデバイス、サービス、あるいはJVMなどのリソースを監視するJava SE標準のAPI「Java Management Extentions(JMX)」やJMX準拠の監視ツール「Jconsole」の機能強化について話し、「デスクトップ」分野については、Windowsの次期バージョン「Windows Vista」のグラフィック・エンジン「Avalon」のサポート、GUIの改良について解説をした。

 2008年に登場予定のJava SE 7(コードネーム:Dolphin)にも少しだけ触れた。その多くは未確定だが、direct XMLのサポートやBeanShell Scripting Language(JSR274)といった現段階でのJavaテクノロジの最新トレンドを実装していく可能性が高い。

 Java EE 5に関する大きなトピックの1つはEJB3.0だろう。EJB3.0は、Session BeanやEntity Bean、Message Driven BeanのすべてをPOJO(Plain Old Java Object)として実装することが可能となった。

 Web Services Strategist マーク・ハプナー(Mark Hapner)氏が解説するJava EE 5の技術内容をみると、Java EE 5は総じてプログラミングの簡易さを目指して開発が進んでいることが明らかである。このことは、オープンソースコミュニティとのより積極的な接触を図ろうとする同社の動きからもうかがえる。例えば、Project Glass Fishというオープンソースのプロジェクトを通じて、サンは開発環境「NetBeans」のさらなる普及を狙い、より多くのJava開発者の取り込みを促進している。

 そのほか、Java EE 5には、JSP Standard Tag Library(JSR52)やStAX(XML入出力のためのAPI:JSR173)、Webサービス・メタデータ(JSR181)などさまざまな仕様が追加される。最終リリースは2006年第1四半期の予定。

(@IT 谷古宇浩司)

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サン・マイクロシステムズ

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