「ITの時代は終わった」――大学CIOフォーラム

2005/11/19

 マイクロソフトが11月18日に開催した「大学CIOフォーラム」は、マイクロソフトと日本の大学がIT活用に関して意見交換をする場となった。米マイクロソフト 最高経営責任者のスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は冒頭、「(大学CIOフォーラムの取り組みを通じて)大学におけるIT活用のガイドラインを策定できれば」と語った。1回目の開催となる今回は、バルマー氏が8大学のIT担当者と「大学におけるIT活用の課題」について議論を行った。

大学CIOフォーラムの様子(真中が米マイクロソフト 最高経営責任者のスティーブ・バルマー氏)

 大学関係者の意見として多かったのが、学内のIT化を推進していくうえで人の問題がいかに重要か、という点であった。今回出席したパネリストは、東京大学、京都大学、筑波大学、東京工業大学、広島大学、慶應義塾大学、青山学院大学、立命館大学のIT担当者で、多くは学内のIT基盤を整備する総責任者という立場にある。彼らが直面する最大の問題は、教職員のIT化に対する意識の低さにあるようだ。広島大学 理事・副学長の椿康和氏は「国立大学は法人化したが、教員の意識は依然として国家公務員時代から変わっていない」と話す。

 IT基盤を整備し、そのうえにアプリケーションを構築するという行為は、それらの技術を活用する利用者のワークフローを変革するということである。結果はコスト削減など業務の効率化という数字で跳ね返ってくる。ただし、利用者の意識がIT用に変化していなければIT化の効果はないほとんどない。このことは、企業であろうと大学であろうと状況は同じなのだが、大学という環境はやはり特殊な環境だと青山学院 常務理事の久武雅志氏はいう。「教員には社員であるという意識を持ってもらいたい。コスト意識の欠如は甚だしい」と久武氏はいう。青山学院では営業支援サポートを行うために基幹システムを新たに構築、さながら企業の業務改革のようだ。

 大学におけるIT活用の課題という議題を尻目に、そもそも大学ほどITをうまく活用する組織はほかに存在しないと話すのが慶應義塾大学 常任理事の村井純氏である。「そもそも大学はITの利用において、世間の5年くらいは先にいっている。そういう意味で、大学の役割とは、未来の情報社会のテスト環境を作り出す、ということにあるのではないか」と大学とITの役割を新たに定義した。

 ITと大学の関係についてさまざまな意見が提出されるなか、京都大学 情報環境機構長の松山隆司氏は「ITの時代は終わった」と宣言した。その真意は、技術の趨勢(すうせい)を議論する時代は終わり、これからは、使う側(人間)と使われる側(機械)とのかかわり合いをいかに深めるかを追求する時代になるということだ。ヒューマンウェアの時代といいかえてもいいかもしれない。「情報環境という言葉は英語に直訳するとImformatin Enviromentだろうが、われわれが情報環境という言葉に込めているニュアンスはそういうものではない」と松山氏はいう。人と情報システムの共生といったところか。

(@IT 谷古宇浩司)

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