キャッシュロジックはISPをP2Pの悪夢から解放するか

2005/11/23

 ISP向けのP2Pトラフィック管理ソリューションを開発・販売する英キャッシュロジックは11月22日、日本市場への参入を発表した。数社の販売パートナーから成る販売体制を、今後数週間のうちに整備し、日本のISPに対して同社製品を売り込んでいきたいという。

キャッシュロジックのCTO、アンドリュー・パーカー氏

 キャッシュロジックの共同設立者でCTOのアンドリュー・パーカー(Andrew Parker)氏は、「接続サービスに対するP2Pトラフィックの影響をまだ把握できていないISPもいる」と記者会見で語った。その理由の1つは、25番ポートや80番ポートを利用するP2Pアプリケーションが多く、IPアドレスとポート番号だけを基にしたトラフィック解析では、SMTPやHTTPと区別がつかないからだ。そこで同社が提供している製品の1つが、トラフィック解析装置の「Casheswitch」。P2Pアプリケーションの生成するハッシュ値を見てどのアプリケーションかを判断し、トラフィックを分類する。最新製品のCacheswitsh 320では、単方向で1.2Gbps、全二重で2.4Gbpsのスループットに対応しているという。

 キャッシュロジックは世界各国の大規模ISPにCacheswitchを設置してP2Pトラフィックを常時モニタリングしている。これによると、現在のISPネットワーク上で最大のトラフィックはP2Pアプリケーションであり、ダウンストリームでは平均で全トラフィックの50〜60パーセント、アップストリームでは平均70パーセントを占めるに至っているという。しかも、P2Pトラフィックの92パーセントが中継点あるいはピアリングP2Pトラフィックによって帯域が占有されてしまう問題は、一部のISPにとって非常に深刻なものになってきている。

 しかし、ISPがP2Pトラフィック対策としてできることは限られる。「P2Pトラフィックに対し、ブロックや帯域制限を適用すると、ユーザーはほかのISPに逃げてしまう。もはやP2Pを否定することは難しい」

 これに追い打ちかけるように、BBCが自局のテレビ番組を、2006年よりP2Pでインターネット配信すると発表するなど、「合法的な」P2P利用が増えようとしている。P2Pを使うことで、コンテンツプロバイダはコスト効率よく配信できるようになるが、そのコストは事実上ISPが負担することになる。

 解決策として、同社は「Cachepliance」という製品シリーズを展開している。同製品は、P2Pアプリケーションのデータをキャッシングし、送信元に代わってデータを提供する役割を果たす。この機能により、まず、ISP間の相互接続点を通過するトラフィックの量を減らすことができる。また、ラストマイル接続におけるアップストリームの帯域消費を減らし、各POPに収容するユーザー数を増やせるようになるという。この製品が一般的なキャッシング・ソリューションと異なるのは、キャッシングはするものの、アクセスを高速化するわけではないという点だ。送信元の帯域幅を記憶しておき、それと同じスピードでキャッシュからの送出を行うという。

 「Cachepliance」シリーズには、搭載されているストレージの容量によって3種類の製品がある。パーカー氏はそれぞれの製品価格を明らかにしなかったが、ISPのユーザー1人当たり1ドルを価格の目安としていると述べた。

(@IT 三木泉)

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