もうSANスイッチだけではない、ブロケード

2005/12/10

米ブロケードのCEO、マイケル・クレイコー氏

 ブロケードコミュニケーションズシステムズは12月9日、東京でユーザー・カンファレンス、「Brodcade Conference 2005」を開催した。米ブロケードのCEO、マイケル・クレイコー(Michael Klayko)氏は基調講演で、従来のSANスイッチ・シリーズ「Silkworm」に加え、ソフトウェアとサービスの展開を始めたことで、「顧客のストレージ管理ニーズに総合的に応えられるベンダになった」と語った。

 クレイコー氏は、企業のIT担当者が抱える新たな問題について、「世界中で多数の法規制が生まれており、企業は自社の事業計画よりも優先して、こうした規制に取り組まざるを得なくなっている」と指摘。今年に提供を開始した新たなソフトウェア製品シリーズ「Tapestry」が、サーバの動的な構成変更や遠隔拠点で利用されるデータの集中管理、ストレージ機器間の簡単なデータの移動といった機能を通じ、迅速かつ機動的な対応が要求されるコンプライアンス・ニーズに応えるという。

 これに続いて、同社チーフ・テクノロジー・アーキテクトのマックス・リグスビー(Max Riggsbee)氏が製品を具体的に説明。特にTapestryシリーズについては多くの時間を割いて紹介した。

米ブロケード、チーフ・テクノロジー・アーキテクトのマックス・リグスビー氏

 「Tapestry Wide Area File Services」(WAFS)は、Tapestryシリーズの第1弾製品。遠隔地の支店や営業所で利用されるデータを単一のデータセンターで集中管理し、IPネットワーク上の高速通信により、遠隔拠点側に配置するアプライアンスを通じて、ユーザが快適に中央サーバのデータを利用できる環境を提供する。「この製品で一番重要なのは、マイクロソフトのプラットフォームを採用しているため、マイクロソフト環境と統合できること」(リグスビー氏)。

 Tapestryの第2弾となる製品は、米国で11月に提供を開始した「Tapestry Data Migration Manager」。Silkworm上で動作するオプション・ソフトウェアで、簡単な操作でデータのストレージ間での移動ができる。「データ移動の所要時間の予測値と残り時間がリアルタイムで表示されて分かりやすい」とリグズビー氏は話した。

 これに続いて現在開発中の製品は、「Tapestry Application Resource Manager」。これは、ディスクレスのサーバ機とOS、アプリケーション、ストレージを動的に関連付けするツールだ。複数のディスクを持たないサーバ機がSANを通じてストレージに接続されている環境で、OS/アプリケーションのイメージをストレージの論理的パーティションにコピーし、これにサーバ機を割り当てて、即座に遠隔起動することができる。簡単な操作で、サーバの交換や追加が実現する点が特徴という。同製品は現在、少数の顧客による評価中で、一般的な製品出荷は2006年中頃になる見通し。

 サービスに関しては、SANの設計、WAFSの最適化、メタSANの設計の3種類を提供開始。今後、日本でもこれらのサービスを展開していくという。

(@IT 三木泉)

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ブロケード コミュニケーションズ システムズ

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