古くて新しい電話着信課金型アフィリエイト広告の登場

2005/12/15

 成果報酬型広告といえば、Webサイトのバナー広告がすぐに思い浮かぶ。クリック数で広告効果を測定できるというその特徴は、紙媒体を始めとした既存媒体における広告商品との差別化を生み出したわけだが、最近では既存媒体において、電話の着信履歴を活用しながら広告効果の測定や成果報酬型広告を実現するというサービスも登場している。レガシーな要素を技術開発によって生まれ変わらせる“古くて新しい”試みといえる。

 コムスクエアが9月1日に発表した「ペイパーコール」は、顧客からの電話に関するログ情報(被コール数、通話時間)を正確に記録、これらのデータをペイパークリック方式におけるクリックと同等に扱うことで、広告の効果測定や成果報酬型広告の展開に利用する。電話番号の露出可能な広告媒体であれば何でも適用が可能なので、雑誌や新聞、あるいはテレビ、ラジオなどのメディアで成功報酬型広告商品の開発が可能になる。顧客がかける電話番号(広告に掲載する電話番号)はコムスクエアがランダムで割り振る。顧客が電話をかけると同社のデータセンターを通じて広告主の電話番号に自動転送される仕組みである。

 12月9日にはオプトと共同で、電話着信課金型のアフィリエイト広告を開発したと発表した。このアフィリエイト広告はアフィリエイト・サービス・プロバイダのインタースペースに登録するWebサイト(約4万)に対して、バナー広告として配信される。ユーザーがバナー広告をクリックすると、専用の電話番号が表示されたWebページに誘導される。そこからユーザーは広告主に無料の問い合わせができる。広告主はユーザーからの着信件数と通話時間に応じた広告料金を支払うことになる。

 「電話着信課金型アフィリエイト広告市場は立ち上がったばかり」。コムスクエア ipSQUAREグループ セールスチーム シニアマネージャー 澁谷芳邦氏はいう。同社はもともとコンピュータ・テレフォニー・インテグレーション(CTI)関連の事業を展開していたが、インターネット・プロトコルの普及による電話市場の構造改革の流れに乗って、新たな事業に進出した。ペイパーコールの開発は同社がこれまで培ってきたCTIの技術ノウハウに依存するところが大きい。

 澁谷氏によると、米国では昨年あたりからpay-per-phone-call(PPCall)として、中小規模企業を中心に市場が形成されつつあるという。

(@IT 谷古宇浩司)

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コムスクエア

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