“増築もできます”、ADICのLTOテープライブラリ製品

2005/12/17

 東京エレクトロンは12月16日、米ADICのLTOテープライブラリシリーズのミドルレンジ製品、「Scalar i500インテリジェント・ライブラリ」を12月20日に販売開始すると発表した。

最大で高さ41Uの構成が可能なScalar i500

 これは、東京エレクトロンがすでに国内で販売しているハイエンド・テープライブラリ「Scalar i2000」の小型版。シャーシは5U、14U、23U、32U、41Uといったさまざまな構成が可能で、設置後に、ニーズに合わせて拡張モジュールを追加し、容量を拡大することもできる。最大構成では、LTO-2 あるいはLTO-3のテープを404本収納できる。これにより、LTO-3で非圧縮の場合、約162Tバイトのデータをバックアップできる。大きいシャーシをあらかじめ導入し、必要なスロットの分だけソフトウェアキーを入手し、ライセンスを支払う方法も選択できる。

 装置の利用効率を高める機能として、同製品では、1本のテープを複数のパーティションに分割し、1台のテープライブラリ装置で複数の部署のバックアップ需要に応えることのできる機能も備わっている。

 i500の最大の特徴は、i2000と共通なソフトウェアによる管理機能の搭載。本体に取り付けられた各種のセンサーと連動し、発生しているトラブルの原因や対処方法を文章で管理ツール上に表示することができる。実際に症状が起きる前でも、センサーからの情報に基づき異常を知らせてくれることで、事前の対処が可能になる。

 従来の液晶画面のみでのエラーコードによる障害表示では、ユーザー側は意味が分からず、保守・サポート部隊に問い合わせるしかなかった。今回の製品では、管理者は管理ソフトウェア上で、人の言葉でトラブルの状況を知ることができるのに加え、トラブルに関する詳細な情報を直接保守・サポート部隊に送信することができる。これによって、迅速な復旧が実現する一方、保守・サポート会社にとっては無駄な出動を軽減できるようになる。管理ツールはEMC Control Centerなどの主要ストレージ・リソース管理ツールと統合できるという。

 東京エレクトロンは、2001年からADICの国内層販売代理店として活動している。これまでScalarシリーズはi2000を中心に販売してきたが、国内の顧客は米国と比べるとデータ量が少ないため、i500のような5〜30Tバイトのミドルレンジが最も適しているという。

 東京エレクトロンのコンピュータ・ネットワーク事業部ストレージ営業統括グループ統括リーダー大村鉄夫氏は、「技術的には、テープのビット単価が今後さらに急速に低下していくことが考えられる。このため、ミドルレンジの製品でもハイエンドの需要を支えられるようになっていくだろう」としている。

 東京エレクトロンは、ADIC製品について従来通り構築や管理のサービスを提供していくが、新製品の主な販路としては、大手コンピューターベンダなどによるOEMやSI業者を通じた再販を考えているという。

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