中堅向けERP 1位は富士通、SAPとオラクルは「難儀」

2005/12/21

 民間の調査会社ノーク・リサーチが12月20日発表した調査報告によると、年商500億円以下の中堅・中小企業向けERPパッケージの2004年度のシェアは富士通の「GLOVIA-C」が前年に引き続き、トップだった。富士通は日本全国の販売網が強み。対して「鳴り物入りで参入したSAP、オラクルはまだ明確な実績を挙げていない」として「やはり日本式チャネル販売と商慣習の壁に難儀している」とノーク・リサーチは分析している。

 大企業向け製品を含めたERP市場全体は、2004年度に対前年度比13.8%増の985億円に拡大。2005年度には対前年度比9.5%増の1078億円に達するとノーク・リサーチは予測している。ERP市場の中で伸びが大きいのが中堅・中小企業向けERPで、2004年度には20.2%増の601億円に成長した。景気回復によるIT投資の増加やオフコンなどレガシーシステムのリプレース需要が成長を引っ張っている。2005年度は12.5%増の670億円を予測している。

 2004年度のベンダ別のシェアは前年度に引き続き、富士通のGLOVIA-Cが16.7%でトップ。大塚商会の「SMILEα AD」が13.8%で2位、住商情報システムの「ProActive」が9.7%で3位だった。ノーク・リサーチは富士通の強みを「日本全国に広がっている販売網」と説明し、「このチャネルを活かしたパートナー販売が富士通のメーンの販売方法となっている」とした。また、大塚商会は「強力な販売力と、40万社といわれる既存顧客が大きな強み」と分析した。中堅・中小企業向けに営業活動を強化しているSAPジャパンと日本オラクルは強みが発揮できておらず、ノーク・リサーチはSAPについて「パートナー戦略を充実させることが最重要課題」と指摘している。

 中堅・中小企業向けERP市場は、企業の規模によって市場が色分けされている状況だ。年商50億円以下の企業では、大塚商会のSMILEα ADがトップで、40%近いシェアを誇る。2位はミロク情報サービスの「MJSLINK」、次いでオービックビジネスコンサルタントの「奉行新ERP」。この3製品で、市場の70%以上を占める。年商50億円から100億円、100億円から300億円の市場ではGLOVIA-Cがトップ。ノーク・リサーチは「(富士通は)全国へ広がっているチャネル網に加え、自社のオフコンユーザーの自社ERPへのリプレースを推進していて、その結果がでている」としている。

 年商300億円から500億円ではProActiveが21.3%のシェアで1位。「10年以上販売を続けてきたノウハウと、ERPの投資対効果をアピールすることでコスト削減だけに限らない付加価値の高いERPであることを強みにしている」と分析している。年商300億円から500億円の市場では2位に日本オラクルの「Oracle E-Business Suite」がシェア9.8%で入っている。

(@IT 垣内郁栄)

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ノーク・リサーチの発表資料(PDF)

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