ガートナー幹部が警告「受け身の姿勢のIT部門は死ぬ」

2006/1/6

 米調査会社のガートナーは、企業の競争力にとってITの重要性は増してきており、「企業内のIT部門は今後5年で大きく役割を変えていく」という予測を出している。その一方でIT業界では、「ITはコモディティ化してきており、それだけでは競争力にならない」という、ニコラス・カー(Nicholas G. Carr)氏の主張するいわゆる「IT Doesn't matter」といった議論も存在する。

 ITの重要性はこれからどのような方向に向かい、進化していくのか。ガートナーのシニアバイスプレジデントとして、リサーチ事業をグローバル規模で統括するピーター・ソンダーガード(Peter Sondergaard)氏に聞いた。


――ガートナーは、ITは経営にとって重要さが今後さらに増していくという主張をしている。

ソンダーガード氏 その通り。いまや、企業にとってビジネスプロセスとITは統合されて見分けが付かなくなってきている。つまり、企業にとってビジネスプロセスの重要性が高まるのと同様に、ITの重要性も高まってきているのだ。

――一方で、ITがコモディティ化するという議論もあるが。

ソンダーガード氏 テクノロジはこれまで、ハードウェア、ソフトウェア、通信といった個別の分野で進化し変化してきた。これらは個々にはコモディティ化していくだろう。しかし、今後ITの分野での付加価値はテクノロジ単体からではなく、それぞれのテクノロジが融合した分野や、それらの境界で生み出されていく。

――ガートナーは先日「企業のIT部門は変革を迎えている」というレポートを出した。変革とはどういうものなのか。

ガートナーのシニアバイスプレジデント ピーター・ソンダーガード氏

ソンダーガード氏 これまでのような受け身の姿勢のIT部門は死んでしまうだろう。(ビジネスプロセスとITが融合しているのだから)ITをユーティリティとして提供するだけでなく、それによってビジネスを助けるような役割をしなければならなくなってきている。

 具体的な例を挙げると、企業改革法(SOX法)への対応がある。米国にはご存じのようにSOX法があり、欧州にも同様のものがある。日本でもコンプライアンスへの注目度が高まってきていると思うが、これはビジネスをITへ向かわせる大きな要因だ。

 そして情報部門のトラディショナルな業務、例えばシステムの開発や運用保守といった仕事はアウトソースされていく。IT部門にとって増えてくるのは、マルチソースな情報のマネジメントだ。テキスト化された情報だけでなく、ビデオ、サウンドといった情報。われわれはこれを“コンテキスチュアル・コンテント”と呼んでいるが、こうした情報を管理するスキルがこれからは求められてくる。

――アウトソースが増えていくというのは、例えばSalesforce.comのようなASPサービスの利用も含まれていくのか?

ソンダーガード氏 いま存在するASPは、既存のインフラ技術とソフトウェア技術の上に構築されたWebブラウザベースで提供されている。ガートナーはこれを“戦術的”なサービスだと考えている。これから数年すると、仮想化などに対応した新しいインフラの上で、ライセンス体系などもそれに対応した“戦略的”なサービスの提供が始まるだろう。それが真のユーティリティコンピューティングになる、と考えている。

 一方で驚かれるかもしれないが、ガートナーは数カ月前から“アウトソースはあまりしない方がいい”というメッセージを出している。これは決してアウトソースが悪いといっているのではない。現在のやり方に問題がある。アウトソース先を契約によってマネジメントするのではなく、人を立てて、アウトソース先の人々をマネジメントするべきなのだ。

――情報部門にかかわるスタッフはこれからどのようなことを意識すべきだろうか。

ソンダーガード氏 次のことを念頭に置いてほしい、というのが私からのメッセージだ。

  • 自社のビジネスプロセスのディテールを知ること
  • コンテキスチュアル・コンテントの環境で仕事をしなければならない
  • ソフトウェアとサービスの違いはなくなっていく

(@IT 新野淳一)

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ガートナー ジャパン

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