楽天、出版事業本格参入〜テレビより先に雑誌でメディアMIX実施

2006/1/12

楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏
 楽天は1月11日、インターネットと雑誌とのメディア融合を目指し、出版事業に参入すると発表した。出版事業進出の第1弾として、サッカーをメインとして音楽や映画などのカルチャー面に焦点を当てた雑誌「STAR soccer」を1月12日に発売する。楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「楽天グループの4大事業である、EC、ポータル・メディア、トラベル、金融のうちのメディアを強化するべく、出版事業に乗り出す。新雑誌では『ライフスタイルとサッカーの融合』を目指す」と意気込みを語った。

 STAR soccerは雑誌だけではなく、本来同社が得意とする楽天市場(EC)を含んだWeb、モバイルの3種類の媒体をミックスしたものを目指す。月刊で発行する雑誌では、高い保管性を利用したコンセプト訴求を行う。Webでは、週刊や日刊で更新し、コミュニティ形成力を利用したパーソナルメディアを目指す。モバイルは日刊または随時で更新し、コミュニティツールとしての強みを生かすという。楽天 執行役員 利重孝夫氏は、「ニューメディアであるインターネットの『情報検索などのプル戦略』や『One to Oneマーケティング』と、オールドメディアの『プッシュ戦略』『マス広告』というそれぞれの強みは、お互い補完しあえるものだ。それぞれを補完しあいより強固なメディアを作っていきたい」と語った。

(左)応援に駆けつけたサッカー元日本代表 北澤豪氏は「Jリーグ発足以後、日本は確実に強くなっている。現在はアジアのリーダーと呼べるだろう。昨年のワールドカップの予選からもそれは見て取れる」(右)三木谷氏
 具体的には、雑誌の特集と楽天市場の特集を連動させる企画や、ブログと雑誌の連動なども検討しているとした。雑誌内では、カルチャーや音楽などを絡めたサッカー記事を掲載し、インターネット上では音声や映像なども融合したコンテンツを提供していくという。1月12日発売号は10万部を発行し、目標は「Numberやサッカーダイジェストといった雑誌と肩を並べたい」(利重氏)と抱負を語った。

 今後の出版事業の展開について、利重氏は「4大事業のうち、ECやトラベル、金融はある程度のめどが見えている。メンバープログラムの統合も進行中だ。メディア事業は今後力を入れていく分野」と定義。今後さらに、「人材市場や自動車、マネーなどの広告バリューのある分野や、ショッピングや旅行など当社が強いジャンルから随時創刊していきたい。売上シェアは、当初は雑誌売り上げ50%、広告収入50%くらいだが、ECを開始した後には雑誌売り上げ、広告収入、EC売り上げをバランスよく売り上げたい」(同氏)と説明した。

 三木谷氏は、「『楽天マガジン』はすべて外注していたが、今回は楽天内で制作する。楽天が東京ヴェルディのスポンサーを務めたことがあるほか、現在は私自身がヴィッセル神戸のオーナーであるなど、サッカーと当社のかかわりは深い。個人的には、サッカーの外国人枠は存在意義が分からないので撤廃するべきだと思っている。今後はオールドメディアとニューメディアの強みを融合した新しいメディアを創造し、当社のメディアを強化していきたい」とコメントした。

(@IT 大津心)

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