「他社環境がターゲット」 NetAppがDtoDバックアップ製品投入

2006/2/17

 日本ネットワーク・アプライアンス(NetApp)は2月16日、ディスクアレイベースでデータをバックアップするストレージの新製品「NearStore VTL(Virtual Tape Library) 600/1200」を販売開始したと発表した。同社はディスク to ディスク(DtoD)バックアップソリューション製品をすでに持つが、NearStore VTLは「他社のストレージ環境までをターゲットにした製品」(NetApp 代表取締役社長 鈴木康正氏)で、異機種混在環境に対応できるのが特徴だ。

 データのバックアップはテープライブラリを使うケースが多いが、運用管理の煩雑さや信頼性の問題から、ディスクアレイベースのストレージを使う企業が増えている。NearStore VTLは、NetApp製品をはじめ、EMCやヒューレット・パッカード、IBM、日立データシステムズ、NEC、富士通などのオープン系プラットフォームのストレージをプライマリとして利用している異機種混在環境で、バックアップ用途に利用する。

日本ネットワーク・アプライアンスの代表取締役社長 鈴木康正氏

 テープライブラリをエミュレートする仮想化機能があり、バックアップサーバやバックアップソフトウェアなどの既存の環境を変更することなく、テープライブラリをNearStore VTLに置き換えることができるのが特色。「すでに投資した環境を変えることなく、バックアップソリューションを強化し、管理を簡便にする」(鈴木氏)。

 NearStore VTL 600は最小容量4.5TBから最大84TBまで拡張可能。仮想ライブラリは最大256まで設定できる。NearStore VTL 1200は最小容量9TBから最大168TBまで拡張でき、512の仮想ライブラリを実装可能。テープライブラリの環境を残しながら、「ディスクアレイのパフォーマンスで書き込みできる」(同社 マーケティング本部長 高沢冬樹氏)。

 高沢氏によると他社の仮想テープ製品は、仮想テープのロケーションが特定のディスクアレイに固定されている。そのため特定の仮想テープに負荷が集中することを避けるために、マニュアルでチューニングを行い、負荷を分散する必要がある。しかし、NearStore VTLは仮想テープの場所を固定しない設計で、LUNをまたがって自動的に負荷分散できる。「システム全体のパフォーマンス最適化を随時行う」(高沢氏)という。

 NearStore VTLは、最終アーカイブのテープライブラリと併用することもできる。企業のバックアップポリシーでテープライブラリを使うことが決まっている場合などで使用する。NearStore VTLには、物理テープドライブに保存する際のデータ圧縮を予測する機能があり、仮想テープのデータサイズを事前に調整できる。物理テープメディアの本数を削減できるという。

 NetAppは同日、米本社が買収した米Decruのストレージに特化した暗号化アプライアンス「Decru DataFort E-Series 3.0」も販売開始した。Decru DataFortはサーバとストレージの間に設置しに、データを暗号化、復号化する製品。暗号アルゴリズムはAES-256に対応し、True Random Number Generator(TRNG:完全乱数生成機)によるキー作成機能をハードウェアに実装する。ファイバチャネル、SCSI、NFS、CIFS、iSCSIの各プロトコルをサポートし、既存のストレージ環境に追加できる。

 価格はNearStore VTLが2200万円から、Decru DataFortが400万円から。

(@IT 垣内郁栄)

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日本ネットワーク・アプライアンスの発表資料

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