インフォマティカ、データ統合ソフト新版を10月にも出荷

2006/2/25

 インフォマティカ・ジャパンはデータ統合ソフトウェアの新版「Informatica PowerCenter 8」を早ければ10月にも国内で提供開始することを明らかにした。米国では4月に出荷するが「金融機関などが求める高い品質に応えるため、マイナーバージョンアップを待ってから国内で出荷する」という。

 PowerCenterは企業内のさまざまなシステムのデータを統合、活用するソフトウェア。各種メッセージングやWebサービスに対応し、バッチやリアルタイムでデータ移動する。データのクレンジングや変換などETL機能を持ち、データウェアハウス(DWH)として利用する企業が多い。

米インフォマティカのプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのアイヴァン・チョン氏

 米インフォマティカのプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのアイヴァン・チョン(Ivan Chong)氏はPowerCenter 8について、「より幅広いデータ統合に対応する」と説明した。新たに電子メールやMicrosoft Office文書、PDFなどの非構造化データも統合、活用できるようにした。また、Java対応の機能を強化し、データ変換のアプリケーション開発をデベロッパが柔軟に開発できるという。チョン氏は「PowerCenterをDWH以外に使うユーザーが増えたことに対応し、生産性を高めた」と説明した。

 PowerCenter 8の販売では、従来から強みがある金融のほかに、内部統制構築を手がける一般企業もターゲットにする。チョン氏は「アウトソーシングの拡大で、企業のデータがバラバラな場所に分散しているケースがある」と指摘。「内部統制強化はデータ統合が基本ともいえ、ニーズの広がりが期待できる」と述べた。システム間のデータ統合を手作りのアプリケーションで行う企業もあるが、チョン氏は「これではビジネスプロセスから法令遵守に関係する部分をトラッキングするなどの柔軟な運用が難しい」と説明する。

 PowerCenter 8ではサービス指向アーキテクチャ(SOA)の機能も強化した。レガシーシステムへのデータ統合などのPowerCenter 8の機能をサービスとして切り出して、SOA環境の別のアプリケーションと連携させることができる。インフォマティカはメインフレームのデータ差分を抽出する「PowerExchange」もあり、PowerCenterと連携してデータの適合性を確保できる。

 インフォマティカ・ジャパンの代表取締役社長 北條丈巳氏は「日本企業でも欧米並みに四半期ごとや月次の財務レポートが求められている。レガシーを含めて様々なシステムが混在する中でこの要求に対応するには、手作りのアプリケーションでは無理。ツールの活用が重要だ」と訴えた。

 インフォマティカにとっては国内で続く金融業界の再編が追い風だ。企業合併などによってデータ統合のニーズが高まっている。チャン氏は「銀行は既存顧客に対してより多くのサービスを提供しようとしている。名寄せなど顧客データをシングルビューで見られるようにするカスタマデータハブの機能が重要になり、PowerCenterの利用が増えるとみている」と説明した。

 データハブなどのデータ統合製品は、日本オラクルやSAPジャパンが相次ぎ製品を出荷するなど市場が過熱しつつある。チョン氏は、業務アプリケーションを持つベンダのデータ統合製品は自社プラットフォームへの対応が優先で、マルチプラットフォームのサポートが遅れると指摘。「専業ベンダのインフォマティカは、どのプラットフォームもサポートできる強みがある」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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インフォマティカ・ジャパン

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