プロジェクト管理は「MS Project」使用、アクセンチュアが全世界で統一

2006/3/1

 アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズは2月28日、アクセンチュアと同社が手がけるコンサルティングやシステム構築のプロジェクト管理に、マイクロソフトの「Microsoft Office Project」を標準ツールとして全世界で使っていることを明らかにした。アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズのシニア・ディレクター 高田栄一氏は「全社で導入することで、スピードアップ、省力化、標準化を狙っている」と説明した。

アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズのシニア・ディレクター 高田栄一氏

 マイクロソフトが同日開催した説明会で高田氏がProjectの使用事例を紹介した。アクセンチュアはシステム構築の方法論、ツールセット、システム・アーキテクチャ、指標体系を全世界で標準化している。ツールでは2003年に「Projectがプロジェクト管理、進ちょく・コスト管理のための導入必須ツール」と指定した。製品では「Office Project Professional 2003」「Office Project Server 2003」を使い、アクセンチュアが担当する「どのプロジェクトでもProjectを使うべしと世界で統一している」(高田氏)。

 国内では約2500人の社員のうち、690人以上のコンサルタントやエンジニアがProjectを使って業務を行っている。2004年10月には、社内に自社の開発方法論や標準ツールを定着させるための組織「Strategic Delivery Office」(SDO)を立ち上げた。約20人のメンバーがいる。SDOでは「教育してProjectの利用を刷り込むことに重点を置いた」と高田氏は説明する。Projectの利用を促す社内ポータルサイトの開設や月に1度のニュースレターの発行、トレーニング、Projectの導入サポートを実施した。

 特に力を入れているのがトレーニング。Projectの基本から、アクセンチュアの標準に則ったタスクの切り方や指標管理などを4日間で学ぶ。これまで170人が参加した。

 実際のプロジェクトではProject Professional 2003とProject Server 2003、Project Web Accessを使う。作業計画、作業実績、実績把握、対応実績などプロジェクトのPlan、Do、Check、Actionの各管理サイクル全般で、Projectを利用。アクセンチュアには必要事項を入力するとタスク別、ロール別に工数を算出するExcelベースのツール「Accenture Delivery Method Estimating Model」があり、Projectとデータ連携ができるようになっている。

 アクセンチュアは中国・大連にあるオフショアセンターを使ったオフショア開発プロジェクトでも、Projectを使っている。高田氏が紹介したプロジェクトでは、日本側では大連の開発の詳細な進ちょくは管理しない方針を採っていて、進ちょくのサマリーだけを受け取って、Projectに反映させる方法だった。高田氏は「無理をしないのがProject定着化のポイントだ」と説明した。

 高田氏はProjectの社内の定着について「現在では完全に標準ツールとして認知されている」と述べた。ただ、「プロジェクトごとに活用のレベルにはまだ差があり、全体的な引き上げが今後の課題」だという。トレーニングや積極的なオンサイトのサポートを実施し、活用レベルの底上げを図る考えだ。

 また、高田氏は製品強化の今後の期待として、複数回のUndoのサポートや複数の基準計画を基にした分析、印刷機能の強化などを挙げた。「ユーザービリティはまだまだハードルがあるとちょっと思っている。マイクロソフトにはバージョンアップでの(改善の)取り組みを期待したい」

(@IT 垣内郁栄)

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