サーバ仮想化で業務が加速〜ヴイエムウェアがセミナー開催

2006/3/11

 

 ヴイエムウェアは3月10日、東京都内で企業のCIOを対象とした「CIO Conference」を開催した。同社のサーバ仮想化技術が、サーバ統合による直接的なハードウェアコストの削減や管理コストの削減だけでなく、システムの迅速な展開や障害対策、災害対策にも効果をもたらすことを訴えた。

 ユーザーとして講演した保険・金融サービス会社AIGの日本・韓国地域チーフテクノロジーオフィサーである谷川宏氏は、現在日本の同社グループで、「42台の物理サーバにVMwareを導入、245台のゲストOSを稼働している」と話した。

 導入の目的は、「稼働システムの急速な増加により、サーバルームのスペースや消費電力に危機感を持った」から。VMwareを利用していなければ245台の物理サーバが必要だったことになり、サーバ稼働に必要な資源を約4分の1に抑えられた計算になる。

 ただし、サーバ仮想化技術のメリットとしてよく引き合いに出される運用管理コスト削減効果については、「当初はそれほどでもない。1台に8区画(の仮想サーバ)を利用するようになってくると、効果が出てくる」と谷川氏は話した。

 AIGでは、カプセリングと呼ばれるVMwareの機能を用い、東京都墨田区のサーバルームで稼働する本番サーバのシステムイメージを兵庫県のバックアップサイトに複製し、災害に備えている。また、稼働中のシステムを中断せずに、別の物理サーバに生かすことのできる「VMware VMotion」も、メンテナンスや障害対応に活用している。

 谷川氏が最も気に入っているのは、新規のシステムを迅速に立ち上げられるようになった点。次々に開発される新商品のためのシステムを用意するには、サーバ・ハードウェアの購入申請提出から始まり、設置環境の整備などを含めた一連の作業に、従来は2〜3カ月が必要だった。「ITが業務の足を引っ張っているといわれた」(谷川氏)

 しかし、VMwareを導入したことで、逐一ハードウェアの調達から始める必要がなくなった。現在では仮想サーバ環境の利用権をユーザー部門に与えるだけでよくなり、2、3日で準備ができるようになったという。

 ヴイエムウェア社長三木泰雄氏は、ヴイエムウェアの優位性について、「XenやマイクロソフトのVirtual Serverは、まだ1台のハードウェア上で区画分けをしているレベル。VMwareはVMotionやVirtualCenterで、次の段階に移っている」と話した。

 サーバ仮想化はハードウェアの効率利用に加え、可用性の向上に役立つものになってきたと三木氏は強調した。今年6月に登場予定の「Distributed Resource Scheduling」では、VMwareを動作させた物理サーバ複数台でクラスタを構成し、事前設定に基づいて物理サーバ間での仮想サーバの移動を実現すると話した。

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