NEC社長が急遽交代、矢野副社長が就任へ―「緊急事態が発生した」

2006/3/16

 NECは3月15日、代表取締役 執行役員副社長の矢野薫氏が4月1日付で代表取締役 執行役員社長に就任する人事を発表した。現社長の金杉明信氏は健康上の理由で業務執行が難しいと判断。代表権のない取締役副会長に就く。矢野氏は「今年は次世代ネットワーク(NGN)元年。金杉社長の下で進めてきたIT・ネットワーク統合ソリューションの大きな旗は変らないが、変えるべき部分は俊敏に変えていきたい」と語った。

4月1日付でNECの代表取締役 執行役員社長に就任する現副社長の矢野薫氏

 矢野氏はシステム構築事業について「NECは高信頼で、大規模なミッションクリティカルシステムに強みを持っている」と説明。システム構築やサーバ、ソフトウェアなどのITソリューション分野におけるSIサービスの営業利益率を、現状の8%から10%に押し上げることを目指すと述べた。出資したアビームコンサルティングやNECソフトなど子会社との連携の体制が整ってきたとして、「大枠はできた。あとはやるべきことを実行するだけだと考えている」と語った。

 ネットワーク機器とサーバ機器を融合したIT・ネットワーク統合ソリューション「UNIVERGE」については「国内での認知度が上がってきた」との認識を示した。通信事業者のNGNへの対応に期待を示し、「通信事業者はネットワークにいかに付加価値を付けて、ARPU(月間電気通信事業収入)を増やすかに関心がある」と説明。iモードのゲートウェイなどを担当し、国内外で実績のあるNECに「ビジネスのチャンスがある」と述べた。「NGNは個人、企業にとっても大きな変化点となる。IT・統合ソリューションはいまの勢いを伸ばしていきたい」

 NECの足を引っ張るのは携帯電話事業と半導体事業の赤字。矢野氏は携帯電話事業については「業界におけるアライアンスをしっかりつくることでいい事業にできる」と述べ、国内のほかの携帯電話メーカーとの提携や連携で黒字化を目指す考えを示した。半導体事業については「社内の半導体の事情やNECエレクトロニクスの状況をつぶさに分析し、現状は把握している」として、社内プロセスの見直しや東芝との共同開発などで早期に黒字化を目指すとした。

 金杉氏は昨年末、半導体事業については1年半、携帯電話事業については半年で改革の成果を出すとしていた。矢野氏は「まずは携帯電話、半導体をスピード感を持ってターンラウンドしていく」と強調した。

 矢野氏が金杉氏から社長就任の打診を受けたのは3月初め。健康の不調を聞き、「非常に驚いた」が、「これは当社にとって緊急事態が発生した」と考えて、社長就任を決めたという。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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