「Web 2.0」「CGM」意識しBIGLOBEを分社、NEC決断の理由は

2006/3/29

 NECは3月28日、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を展開しているBIGLOBE事業を分社し、7月1日に新会社NECビッグローブを設立すると発表した。新会社は第三者割当増資を実施し、住友商事、大和証券グループ本社、三井住友銀行、電通、博報堂の5社が引き受ける予定。NECの新会社への出資比率は78%になる見通しだ。BIGLOBEは総会員数が1320万人(2005年9月末)のISP大手。

NEC 執行役員専務の片山徹氏(左)とNEC 代表取締役 執行役員副社長 川村敏郎氏。片山氏は新会社の社長に就任予定

 NECの代表取締役 執行役員副社長 川村敏郎氏は「Web 2.0やCGM(Consumer Generated Media)などのキーワードが旬になりつつあり、新しい価値観のビジネスがまだまだ生まれている。NECにとってもビジネスチャンスがある」と現在のインターネット環境を解説。そのうえで「NECだけの文化、DNAでは大きな飛躍は期待できない。もっと新しい血を入れないと駄目と考えた」と、BIGLOBE事業分社化の理由を説明した。「退路を断ち、真剣に参加してもらうため」に5社から計127億円の出資を受けるという。

 新会社のNECビッグローブは既存のISP事業から安定収集を得ながらも、ビジネスの柱は「プラットフォームサービス事業」「ブロードバンドメディア事業」に置く。プラットフォームサービス事業は映像配信サービスや課金・認証管理サービス、ホスティング、セキュリティサービスなど、BIGLOBEのサービス基盤を顧客企業に提供する事業。顧客企業はこれらのサービス基盤と自社のサービス、NECグループのシステム構築能力などを組み合わせて新しいサービスを開発する。NECの執行役員専務で、新会社の代表取締役執行役員社長に就任する予定の片山徹氏によると、すでに日本テレビ放送網、テレビ朝日などがこのプラットフォームを使って映像配信やテレビ番組と連動するコンテンツを開発している。

 ブロードバンドメディア事業は映像コンテンツを使った電子商取引や広告展開、有料の映像配信などを行う。そのためのレコメンド基盤や認証管理、配信基盤などを強化する。BIGLOBEの2005年度の売り上げは600億円強の見込み。売り上げのうち、半分強がISP事業からの収入だ。新会社は出資企業のノウハウを活用してプラットフォームサービス事業、ブロードバンドメディア事業の拡大を目指す。2008年度にはISP事業とそのほかの事業の売り上げの割合を半々にし、売上高で1000億円以上を狙う。新会社で代表取締役執行役員専務に就く予定の佐久間洋氏は「特にプラットフォームサービス事業が急速に伸びる」と予測した。新会社は上場も検討する。

 住友商事は新会社に7%出資し、電子商取引で協力する。共に5%出資する大和証券グループ本社、三井住友銀行は証券、金融関連のオンラインサービスを拡大する。2.5%ずつ出資する電通、博報堂は映像コンテンツを使った広告展開で協力する。川村氏は「賛同してもらえるパートナーがあればお招きしたい」と述べ、NECが過半数の出資比率を維持することを前提に、ほかの企業の出資も受ける考えを示した。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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