熱暴走前にサーバを冷やせ、APCが新水冷装置

2006/4/7

 サーバが発する熱が問題になっている。ブレードサーバの普及などで1ラックに格納されるサーバ数が増え、発熱や消費電力がデータセンターの悩みの種だ。インテルやAMDはマルチコア化で熱や消費電力の問題を解決する考え。サン・マイクロシステムズも低消費電力を売りにするサーバを出荷した。4月5日には、サーバラック製品大手のエーピーシー・ジャパンがサーバルーム向けの冷却ソリューションを発表した。

エーピーシー・ジャパンが発表した冷却装置「InfraStruXure InRow RC」。ラックとラックの間に設置する

 サーバルームは冷却装置を使って部屋全体を冷やすのが一般的。フリーアクセスフロアを使って、床下に空けた穴からサーバを冷やす方法もある。しかし、この方法では冷風の流れを予測できず、サーバを希望の温度に下げることが難しかった。「部屋は冷えているけど、サーバ自体は熱いというホットスポット問題が起きている」(エーピーシー・ジャパン)。

 特に従来のサーバは消費電力が1ラックで0.5〜2kW程度だったが、高密度のブレードサーバでは1ラックで20kW程度になることもあるという。複数のブレードを格納するシャーシ1つで5kWの電力を消費するケースもある。

 エーピーシー・ジャパンが発表した冷却装置「InfraStruXure InRow RC」は、ラックとラックの間に設置して、ラック後部の温められた空気を冷やすことができる。外部に設置した水冷装置から冷却水の供給を受け、ファンで吸い込んだ高温の排気を冷却する。部屋全体を冷やす従来のソリューションと異なり、「熱のソース近くで冷やす」(米APC クーリングソリューション ゼネラルマネージャ ロバート・ハナ[Robert Hanna]氏)のが特徴。「一番熱いところで空気を取り込むため、デザイン通りに冷却が可能で、効率もよい」(同氏)という。

 1台のInRow RCで30kW分の熱まで対応できる。価格は約100万円。出荷は6月から。冷却水の供給装置などは個別見積もりとなっている。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
エーピーシー・ジャパンの発表資料

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